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「戦争は気候活動への窓を閉ざしている」

 戦争は、気候変動に対処する活動を台無しにする。なぜなら、大規模な軍隊は排出量が多く、軍事支出は気候変動への対処から資金を遠ざけるからだ。
 以下がこの問題を取り上げた記事の一例。「戦争は気候活動への窓を閉ざしている」。具体的な数字も含め、軍事活動が気候問題への対処を妨げる図式を概説している。
Wars are closing down the window for climate action
Published on 01/11/2023, 1:43pm

https://www.climatechangenews.com/2023/11/01/wars-are-closing-down-the-window-for-climate-action/

 本件では、同記事の主要部分につき紹介しておこう。

巨大な排出者
 歴史的にみて、軍事による気候変動影響評価ができなかったのは、意図的な部分もあった。国連は1997年に、排出量の報告や削減から軍事部門を明確に除外しない限り京都議定書に署名しないと述べた。この例外は2015年に除外されたが、報告はいまだに任意で限られている。
推定では、世界の軍事行動による排出量は世界の排出量の5.5%を占める。これは民間航空による排出量の2倍以上である。

振り替えられた資金
 気候対策に向けられていた資金が軍事部門に向かった。2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、イギリス政府は、気候ファイナンス予算のうち10億ポンド(12億ドル)をウクライナの軍事支援に振り向けることを発表した。戦争、長期的な潜在的脅威への対処の両面で、気候支出よりも軍事支出が優先されることが多い。結果、米中間の緊張が招かれ、世界の2022年の軍事支出は2.3兆ドルという記録的水準に達した。排出量削減や気候変動への適応への予算の拡充に絶えず失敗したのは同じ国だ。

NATOの目標
 世界最大の軍事同盟NATOは、全加盟国に対し、最低GDP比2%の軍事支出を求めていており、2028年までに総額11.8兆ドルに達すると予測されている。結果、イギリスの年間排出量の2倍になる4.67億トンの軍事部門による排出増が見込まれている。

戦争による多くのコスト
 武器や軍事機器の企業の利益はここ数年で増大した。こうした企業は、気候に脆弱な国にも影響力を広げている。例えば、NATO加盟国は、世界で最も気候に脆弱な40の国のうち39か国に武器を輸出している。対立が高まり独裁政権が強化され、気候崩壊への莫大なコストに対処するためのコミュニティの強靭性が弱体化するだけだ。

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 同記事のまとめは、以下の通りだ。

極端な気候には国境や人種や宗教の区別もない。気候崩壊から我々を守ることのできる戦車、軍艦、戦闘機もない。COP28は、軍事の「巨人」を一同に集め、停戦を求め、軍事支出の代わりに、誰にとっても平和で安全な星を創り上げるために投資するための方法を模索する時だ。

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