冬とあたたかさの狭間

お店の名前は出さないけど

本屋に併設されていて

おしゃれっぽいカフェみたいな所で

静かに勉強している人を観察するのが好きだ

私の心がざわつき なんだか不愉快になるので

多分これは 嫌い混じりの好き という感情だろう

そこをあえて 好き と言い切ってしまえば

歪んだ自分というものを演出できるので

言い切ってしまおう 好きだ

なんで好きかって

ちゃんと勉強してて偉いね 

私と違って

こーゆー場所でしっとり勉強はなんか凄いね

私と違って

何時間やってんのよ よくできるなぁ

私と違って

何事にも一生懸命取り組めて それなりに結果出して

一方で悔しい思い がむしゃら努力の姿を

みんなに見せたりもして 

立派な人間になっていきますよ〜という過程を

上映できるんだね 私と違って

などと思い込んでは 気持ちよくなれるからだ

学校で 対比 という言葉を習ったときに

当時の私はまるで理解できなかったが

今の私なら痛いほど理解できてしまう

あっ 恋人と一緒に勉強してんじゃん

なんだか楽しそうね

珍しい光景ではなかった

それが私にとってはとてつもなく恐ろしかった

恐ろしくなっている私自身もまた恐ろしかった

私の周りには 自分を受け入れましょう的な

本がたくさん置いてあったが

慰めになるどころかグサグサ刺さるものがあった

何してんだ私は

そう思い始めたら引き際



寒気と暖房が共存する空間

それは冬とあたたかさの狭間

突然空が逆さまになったかのように

雪がたくさん降ってきた

もっと私は雪の冷たさを知り

あたたかさのありがたさを知らなければならない

そんな気がしてきた

土砂降りの雪の街に 衝動的に飛び出した

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