絶景(詩集5-6)

休みの日はよくドライブに出掛ける

2時間ほど車を走らせると 山 山 山 山

不機嫌なエンジンを聞きながら

ひたすらひたすら山道をのぼってゆく


気づけば随分と立派なデカい橋

下で細々と川が流れていて

時折追われているかのように小鳥が横切る

顔を上げると もそもそと大量の山の緑が連なる

その先に 私が暮らしている街が

湖のように広く されど静かに佇んでいた

晴天の下 白く輝く街

ブロッコリーみてえな緑をつむぐ山々

赤く濁った岩肌に ありきたりな赤い鉄橋

透明な川 青い小鳥 黒いTシャツを着た自分

この世界はたしかに美しいが

絵の具を大量摂取した時みたいに息苦しくないか


絶景だなと心の中で思った頃にはとっくに冷めてる

やかましいカップルや家族連れどもに舌打ちして

やたらご機嫌なタイヤを転がしながら

するするするりんとくだってゆく


仕事中は脳内で そこから命綱なしバンジー

暴力的に風を切る うわあああきもちい

鳥になれなくたって こうすればいい

いつか本当に鳥になれるかもしれない 人生の一瞬

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?