寄生されてる!(詩集5-12)

今気づいた ようやく気づいた

俺は 俺の脳みそは寄生されてるんだ!

ハリガネムシか? ゼツボウムシか?

それともクウキョムシ? ムキリョクムシ?

いずれにせよ俺の脳みそは誰かにやられてる!

こんなはずじゃなかった人生! なあそうだろ?

いつから俺の脳みそは喰い荒らされたんだ!

おかげで正常な判断ができない!

間違ったことか 何もできないことしかできない!

なんなんだなんなんだなんなんだ!

ぐちゃぐちゃとぐちゃぐちゃとぐちゃぐちゃと!

自分を縦に破ってソイツの正体を暴きたい!

この体に苦しみ自体は存在しない

強いて言うなら呼吸が少し苦しいぐらいだ

問題なのはかろうじて得た少量の酸素で

寄生虫がぽこぽこと産み出す不安の卵を

どうにかすることはできねえってことだ

不安が神経を伝って全身を駆け巡る!

呼吸がどんどんどんどん苦しくなる!

クソみてえな話だ! 体を操るための脳が

苦しさを大量生産する源となっているなんて!

ふざけるな! さっさと出てこい!

俺は死にたいけどまだ死にたくない!

飛び込むならあの絶景からか?

いや川だな! 嫌だ! 死にたくない!

現実は限りなくクソで落ち着かない連続だ

薄給のために白い箱に閉じ込められる日々だ

生きるための灯火みたいなのが

順調に消えていくのを最近よく感じるんだ

見ろよあれほどまでに生意気だった太陽が

雲に隠されてから二度と出てこねえよ

曇天との戦いに敗れた青空が

クソガキみてえに泣いてんだ ざまあみろ!

そろ そろいい加減にしろ

どうせ俺は……で縛りつけてきた20年間

生きる喜びの全てが底に沈んでった

直に分かる これまでの後悔が

これからの航海に災いとなって降り掛かる

いやなに船に乗らなければいいだけの話

今から俺は水になって逃げるだけだからな

最後の最後まで逃げるだけだからな!

最後の最後までありがとさん! 自分

最期の最期までありがとさん! 自分






きらきらゆらめく川の光は

俺を優しく包み込んでくれるに違いない

キボウとかゼツボウとかどうでもいい

ただ一刻も早く……   楽になりたかった

寄生虫の正体は……   自分だ

自分で自分を喰ってただけだ

つくづくばかばかしい……

泡のノイズに紛れてツクツクボウシの声が聞こえる

川の水はどこまでも冷たかった

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