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地域広報誌掲載エッセイ②

今日もまた、地域の農協広報誌に掲載させていただいた過去のエッセイを紹介させていただきたいと思います。

今回は、昨年2020年の5月号の記事です。


「自家製○○」

   5月にはいると、1回か2回は雪が降ることもありますが、次第に春らしくなり下旬には桜も咲きはじめ嬉しくなります。
 本州では五月の下旬になるとスーパーなどに「うめしごと」の材料や道具が並びはじめます。そこで読みたくなるのが『とらばあちゃんのうめしごと』という絵本。梅のことや梅干しを作る流れが詳しくかわいく描かれた1冊です。
 私は幼い頃から祖母の手作りの梅干しを毎日食べていました。鹿児島に住んでいた祖母が手作りの梅干しを関西の実家に送ってきてくれていたのです。しそと塩で漬け込む昔ながらのすっぱいしょっぱい梅干し。とても美味しい梅干しでした。
 そんな祖母から毎年5月末になると、青梅がどっさり送られてきました。家族全員で梅のヘタを取り瓶の中へポイポイいれていき、そこに母が氷砂糖とホワイトリカーを入れ、その日から毎晩父がテレビをみながら瓶を回し、半年から1年後には美味しい梅酒ができあがっていました。
 我が実家で愛用していた手作りのものは他にも、虫刺されに効く薬とハンドクリームがありました。虫刺されに効く薬はホワイトリカーに胃に効く漢方薬の「恵命我神散(けいめいがしんさん)」を混ぜたもので、痒みと腫れをすぐに沈めてくれました。
ハンドクリームは尿素とグリセリンを混ぜたもの。
市販のハンドクリームは、尿素とワセリンを混ぜたものが多く尿素とグリセリンを混ぜたものは種類が少なく高値だったので、自分で作った方が安くあがると母は手作りしていました。
 小学生だったある日、母に頼まれて薬局へ尿素を買いに行きました。が、背の低い私には届かないところにあり、薬剤師さんに頼んで取っていただきました。すると、
「君は、僕たちの仕事をしようとしているんだね。自分でハンドクリーム作るのでしょう?でもね、このハンドクリームを買っても値段は変わらないんだよ。」と、市販のハンドクリームをみせて説明してくださったのですが、、、
「あっ、いえそれは、尿素とワセリンですよね。我が家はグリセリンと混ぜます。」
と、生意気ながら答えると、
「それなら、自分で作ったほうが安いね。」と、心優しい薬剤師のおじちゃんは小学生の私に嫌な顔ひとつせず優しく答えてくださいました。
学校の国語の授業で『専門家』の文字を習うときに、
「『専門家』は『専問家』ではなく、専門家に口を出すなと覚えるように」と耳にタコができるほど教わったので、専門家に口を出してしまったという、薬だけに苦い思い出であります。


以上、昨年の5月号に掲載させていただいた記事でした。
今は夏、梅酒を冷たい水やソーダと割って飲みたい季節です(o^ω^o)

今日も最後まで読んでいただきどうもありがとうございました🍀。

今日も皆様にほっこりが訪れますように🍀。

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