Tatsuo Shimojima

英国のIT企業でWeb・デザイン・ISPの3部署の統括マネージャーとして活動。 帰国後…

Tatsuo Shimojima

英国のIT企業でWeb・デザイン・ISPの3部署の統括マネージャーとして活動。 帰国後、翻訳会社でのコーディネーター業務を経て、ITインフラ系企業での業務を経験。 現在は個人事業主として、IT系企業の業務改善やPM支援、海外Youtuberの動画翻訳など、幅広く手掛けています。

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  • 八葉の栞

  • CS50 - 2023

    ハーバード大学コンピュータサイエンス入門コースの準備、受講から合格まで

  • 2024年3月 ロンドン旅行

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「note創作大賞2024」に応募して感じたこと、応募システムの提案

前回のロンドン旅行記事から3ヶ月。仕事が忙しかったり、GW中にnote創作大賞の存在に気付いたりで、すっかり投稿が途絶えていました。 というわけで、この度、生まれて初めて小説を書き、「note創作大賞2024」に応募しました。 プロットに1ヶ月、執筆に1ヶ月。本業の合間を縫っての作業だったので、正味1ヶ月半ほどかかりました。 7月16日現在も微調整中ですが、大筋はこのまま変更ありません。 応募作品について語りたい気持ちはありますが、今回は初めて応募してみて気付いたことを

    • 「八葉の栞」第五章 後編

      4月4日第十四節 一同は沈黙した。部屋に漂う重苦しい空気が、皆の胸を締め付けた。 こんな場面はこれまでに何度もあった。だが、今回が最も深刻だった。 涼介は喉の奥で言葉にならない呻きを漏らした。その目は虚ろだった。 彼の心は今、完全に折れていた。 ジョシュは泣きながら涼介に抱きついた。 彼は元来より涙もろい性質だったが、このときほど悲痛な涙を流した記憶はなかった。 真桜は呆然としていた。彼女には、未来に起こることを予想できていた。 だが、わかっていても、つらいものはつら

      • 「八葉の栞」第五章 前編

        4月4日第一節 その日、真桜が藤堂探偵事務所を訪れたのは、14時を少し過ぎた頃だった。 柔らかな春の日差しを伴って姿を表した彼女は、いつもと変わらぬその笑みを満面に湛えていた。 「遅くなってごめんね。どうしても、やらなくちゃいけないことがあって…」 彼女は、オーナーには話をつけてあるから、後の予定はないという旨を付け加えた。 涼介たちは、真桜を待つ間、これまでに見てきた記録の内容を再度整理していた。昨日、彼らは匡貴の記録から多くの情報を得た。 今回の話は長い期間に渡るも

        • 「八葉の栞」第四章 後編

          匡貴の記憶第八節 2006年2月28日、午前10時。 徹夜明けの私は、降り続く雨の中、瑞善寺川緑地を歩いて帰ることにした。傘立てからビニール傘を1本抜き取り、開くと雨粒の軽快な音が響いた。 警察署を出て西に向かい、白桜町南駅を左に折れて、高級住宅街を抜けた。家は地下鉄駅の北西にあるが、やりきれない事件の後は、いつも緑地を少し歩いてから帰宅する。 いつの頃からか、家は安らぎの場所ではなくなっていた。 3LDKの部屋は、その空虚さを際立たせ、否応なしに虚無感と喪失感を意識

        • 固定された記事

        「note創作大賞2024」に応募して感じたこと、応募システムの提案

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        • 八葉の栞
          10本
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          12本
        • 2024年3月 ロンドン旅行
          4本

        記事

          「八葉の栞」第四章 前編

          4月3日第一節 午前9時30分。清宮涼介は朝の日課をこなし、白桜町駅に向かっていた。 昨夜から降り続いていた雨はぴたりと止み、朝の空は青く澄み渡っていた。街路樹の葉に朝露が光り、小鳥たちがその間を忙しなく飛び交っている。 涼介はレンタカーを借りて、駅前のロータリーに停車した。 ウィンドウを下げると、清々しい風が吹き込んでくる。涼介は深呼吸した。道端の水たまりには、青空と白い雲が映り込み、水面が風に揺られて緩やかに輝いていた。 水沢匡貴の住居は、佳乃の記録で確認済みだ。

          「八葉の栞」第四章 前編

          「八葉の栞」第三章 後編

          佳乃の記憶第十節 1月16日。朝、白桜町に初雪が降った。今もまだ降ってる。 文乃は風邪で寝込んでるから、今日は私が代わりに店を開けた。 昔から、寒さに弱い子だったから、この寒さが堪えたんだね。 あの子は頑張り過ぎなんだ。好きでやってるというより、義務感みたいのが勝ってるのが残念だけどね。 ひとりの店番は少し不安だったけど、こんな日はそんなにお客さんも来ないと踏んだ。実際、午前は誰ひとり入ってこなかった。 午後になって、家のこたつが恋しくなり、もうお店を閉めようかなあって

          「八葉の栞」第三章 後編

          「八葉の栞」第三章 前編

          4月2日第一節 午前9時20分。藤堂茉莉花は事務所の窓辺に立ち、静寂な朝の情景を眺めていた。薄雲に包まれた大きな空から春の雨が降りてきて、窓ガラスに優しいリズムを刻んでいる。町並みに広がる淡いベールが、花々の上に虹色の雫を散りばめていた。 茉莉花はそっとため息を漏らした。その吐息には、憂いの色が滲んでいた。 「ジョシュ」 彼女はまだ半分眠っているハチワレのネコに話しかけた。 「んー、なんだにゃ?」ジョシュは気怠そうに返事する。 茉莉花は一度深呼吸をしてから、言った。

          「八葉の栞」第三章 前編

          「八葉の栞」第二章 後編

          3月28日第十一節 涼介はノートから視線を上げて、玲於奈の顔を見た。 驚いている。当然だ。この出来事を忘れることなど、普通はありえない。 普通ではない何かが起こっている。これはそういう状況だ。 「これ、本当に私の記憶なの?」玲於奈の目には猜疑の光が浮かんでいる。 リュックの中でモゴモゴと聞こえてきたので、涼介が代弁した。 「間違いないです。ジョシュさんの能力は、人が忘れている記憶まで正確に描写します」 『記憶の雫』はそのときその人物が見たもの、思ったことを書き記す。

          「八葉の栞」第二章 後編

          「八葉の栞」第二章 前編

          3月28日第一節 光風そよぐ麗らかな朝。清宮涼介は瑞善寺川に架かる小橋に佇立していた。 薄紅色の花びらを浮かべた春の水面が、穏やかに揺らめいている。 清冽な川瀬の底では、小魚たちが水草を縫って泳ぎ回り、生命の躍動を感じさせる。 真也の依頼解決から3日が経っていた。この3日間、藤堂探偵事務所に依頼はなく、はるりの存在も杳然としたままだ。その間、涼介と茉莉花たちの関係はさらに深まり、事務所は彼にとっても居心地のよい場所となっていた。 探偵アシスタントとは別に、涼介は灰谷か

          「八葉の栞」第二章 前編

          「八葉の栞」第一章 後編

          3月25日第十節 真也の記録を読み終えた一同は、2杯目のコーヒーを飲んで、息をついた。 「すげえ能力だな、これ」 真也は心底驚いていた。今日だけで何度驚いたことだろうか。 真也から見ても、『記憶の雫』によって書き上げられた内容はほぼ正確だ。 何なら、自分が憶えていることよりも、さらに多くの事柄が記されている。 「ん?でも俺はあの日、灰谷と話してるときにあいつの過去のことなんて、考えてなかったぞ?」 改めて考えるまでもなく、真也の中では常に意識している既知の事実だ。 「

          「八葉の栞」第一章 後編

          「八葉の栞」第一章 前編

          4月5日プロローグ 桜舞う川のほとりにひとり、私は佇んでいた。 柔らかな風が吹き抜け、薄紅色の花びらが髪に絡まり流れる。 見上げると、桜並木が歌うように揺れている。 雨のように降り頻る花びらが、辺りを春色に染めていく。 ふと、春の向こうに人の気配を感じた。 目を細めて前を見つめると、遠くにぼんやりとした黒い影が浮かんだ。 名状しがたい不安が胸に芽生える。 影が大きくなるたびに、不安もまた膨らんでいく。 それなのに、暗い不安の真ん中に、微かに輝く懐かしさを感じる。 矛盾

          「八葉の栞」第一章 前編

          2024年3月 ロンドン旅行 - 4日目

          Hampsteadホテルで3回目の朝食をいただき、West Bromptonから地下鉄でHampstead(ハムステッド)に向かいます。 Hampsteadは、ロンドン北部に位置するエリアで、豊かな自然と歴史的な建物で知られています。 今回は行きませんでしたが、広大な自然公園であるHampstead Heath(ハムステッド・ヒース)、多くの著名人が居住していた家や博物館など、見どころ満載の街です。 お店や裏路地を眺めながら坂を下り、Belsize Park(ベルサイ

          2024年3月 ロンドン旅行 - 4日目

          2024年3月 ロンドン旅行 - 3日目

          West Brompton前日同様、ホテルで朝食を摂ります。 1日目に書き忘れていましたが、このホテルにはトラベル用品の自販機があります。今回は必要なものをすべて持参していたので使いませんでしたが、地味に便利そうだなと思いました。 あと、最初の2日間は気付かなかったのですが、何気にこのホテル、劇場版「けいおん!」に登場していたらしいです。 何故、滞在3日目にしてこのことに気が付いたかというと、West BromptonとEarl's Courtの間に位置するとあるお店

          2024年3月 ロンドン旅行 - 3日目

          2024年3月 ロンドン旅行 - 2日目

          West Bropmton時差ボケもあって、午前5時頃に起床。 ちょっと仕事をしてから、ホテルの朝食に食べにいきます。 Ibisの朝食は一般的なビュッフェスタイルです。 パン、シリアル、ハッシュブラウン、ハム、ベーコン、ソーセージ、卵、ビーンズ、ヨーグルトなどから好きなものを選ぶことができます。 余談ですが、朝食は英語でBreakfast。この"Fast"は断食のことです。断食(fast)を終わらせる(Breakする)から、Breakfastというわけです。 なお、こ

          2024年3月 ロンドン旅行 - 2日目

          2024年3月 ロンドン旅行 - 1日目

          はじめに久しぶりの投稿です。 昨夏から新しい仕事が始まって忙しかったのですが、ようやく少し落ち着いてきました。そして、今年3月中旬にはイギリスに行ってきました。 最近はnoteにもあまり手をつけられていなかったので、これを機にまた積極的に書いていければと思っています。 今回は妻との数年遅れの新婚旅行です。 元々ロンドンで知り合ったこともあって、新婚旅行はロンドンにする予定でしたが、結婚してすぐに新型コロナウイルスが蔓延してしまい、ずっと行けない状況が続いていました。 私

          2024年3月 ロンドン旅行 - 1日目

          CS50 2023 - Week10 Emoji

          概要Week10では、絵文字とその背景にある技術について学びます。 講義の主な内容は、精度の重要性、Unicodeにおける絵文字、コードポイント、そしてZWJ(ゼロ幅結合子)に関する詳細です。 今回の講義は課題と直接の関連はありませんが、非常に興味深い内容となっています。 LabWeek10にはLabはありません。 Final ProjectFinal Projectはその名の通り、CS50最後のプロジェクトです。 課題の内容は、オリジナルのプログラムを開発することで

          CS50 2023 - Week10 Emoji