人生ではじめての「寄付」は介助犬育成協会へ
これまでのわたしの人生に、「寄付」ということばは存在していないも同然でした。
やったことがある近しいところでいえば、「赤い羽根共同募金」へ小銭を託す、売上の一部がユニセフの活動資金となる商品を購入、くらいでしょうか。
そんなわたしが、ある程度のまとまった金額を寄付しよう、いや「ぜひさせてほしい」と思う、1冊の本との出会いがありました。
ノーブルとの約束 介助犬を夢見た700日
桜井 昭生(著)
(残念ながら、現在は中古品しか手に入らないよう)
著者の桜井昭生さんは、介助犬・聴導犬の訓練士でもあり、盲導犬の育成経験も豊富なかた。福岡で『グレイスフルランド』という名の英国レトリーバー専門のブリーダーでもあります。
愛犬Joeyは『グレイスフルランド』出身。受けいれの際にいただいたのが、本『ノーブルとの約束 介助犬を夢見た700日』でした。
読みながら嗚咽した本は、いつ以来でしょう。文字どおり、号泣しました。
介助犬として認められるまでの地道な訓練の日々、訓練をうける犬(ノーブル)とユーザーとの関係、桜井さんのノーブルへの想い……すっかり心を奪われました。
微力ながら、わたしもお役に立ちたい。そう強く思わせたのです。
それで早速、桜井さんと奥さまが運営なさっている『認定NPO法人 九州補助犬協会』を検索しました。
募集している「ボランティアスタッフ」だと、今すぐには貢献できなさそう。ならば「賛助会員」になって「寄付」をしようと思い立ったのです。
ここで、混乱しがちな名称のおさらいをしておきたいと思います。
「寄付」と「募金」と「義援金」
これらは、同じようにつかわれるときもありますが、実際にはまったく意味が異なります。
わかりやすい説明のあるサイトをみつけました。
「募金」とは金銭を募って集めることを言います。それに対して「寄付」とは金銭を贈ることを指します。
義援金は、災害などの被災者のために応援する気持ちを込めて金銭を贈ることを指します。
さいごのほうに、こんなことが書かれていました。
今後の日本では寄付をしやすい環境・意識づくりが重要
わたし自身がそうであったように、「寄付」というものが、どこか遠い世界の話で終わってはなりません。もっと身近に感じられる環境づくりが急務で、かつ、「寄付」によってどんなよりよい世のなかになるのかを、具体的に意識することが大事だと、日本障害者リハビリテーション協会のサイトをみて思ったことでした。
「盲導犬」と「介助犬」と「聴導犬」
「盲導犬」については説明がいらないでしょう。では、「介助犬」と「聴導犬」は?
【介助犬】
体に障害のある人の手足となり、落とした物を拾ったり、ドアの開閉をしたりするなど、日常生活をサポートします。外出時には介助犬と書かれた胴着をつけています。
【聴導犬】
耳に障害のある人に、ブザー音や電話の呼び出し音など、生活上必要な音を知らせて行動をサポートします。外出時には、聴導犬と書かれた胴着をつけています。
「補助犬」は、目や耳や手足に障害のあるひとのおてつだいをする犬のことで、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」の総称にあたります。
補助犬は無償でユーザーに貸与されますが、それまでの育成にかかる費用はタダではありません。ほとんどが「寄付」でまかなうのだそうです。たとえば、介助犬1頭あたりにかかる育成費用は300万。安いとはいい難い金額ですね。
いっぽうで、必要としているひとがたくさん待機している現実も無視できません。
わたしにできることってなんだろう
それが「寄付」という行為です。あるいは、犬という生きもののすばらしさを伝える役目や、犬によって得られる幸せの発信、犬が持ちあわせる不思議な力を信じ、伸ばし、活かしていく努力。これらも、わたしにできること。
ほんの小さな積み重ねでも、それはやがて大きなちからになるはずですから。
もうこんな悲しいニュースを目にする日がなくなるよう、祈り、行動していくのみです。
だれにとっても暮らしやすい、やさしい世のなかにしていく道すじが、きっと「寄付」にはあるのだと確信しています。