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歴史上最も持続可能性の高かった都市:江戸

概要:当時の世界最大都市/250年に渡り平和な時代を築いた/鎖国政策により自給率がほぼ100%/美しい緑の環境を破壊もしたが作り直し保持した/経済は堅調に伸びていた/貧富の差がそれほど無かった/江戸後は持続不可能な欧米式開発路線に急転換、今では極度の輸入依存社会に

環境(1)イギリスが産業革命の化石燃料依存まっしぐらの時に、江戸では自然エネルギーである太陽光エネルギーの使用だけでほとんど済んでいた。

環境(2)見事なまでの3Rs(リデュース、リユース、リサイクル)社会。現代では、大量のゴミが埋め立て地や世界の貧しい地域へ送られるだけ。極度の貧困層の人たちにとっては宝の山。こんなになる前に、江戸の人々は日常的にゴミを出さずに3Rsで資源の需要を減らし徹底的に有効利用していた。

環境(3)現代人は都合の悪いものは見えないところへ隠すが、江戸では、し尿(大便、小便)もお金になる貴重な資源、肥料として有効利用されていた。今では、そのかけがえの無い肥料を使わずに、自動車以上にオイルが消費されると言う「人工の肥料」を使っている。

環境(4)人々は密集して住んでいて、街が歩きまわれるほどコンパクトだった。この時点で、現代の際限なく広がってしまった都市構造に比べると、エネルギー効率は格段によかった。

経済(1)社会起業家とも言える無数の多様な3Rs職人(自営業)が、社会における役割を果たしつつ、ビジネスを展開していた。元々、資源が少なく、リデュースを根本に、リユース・リサイクルをするしかなかった。鋳掛け、紙屑拾い、灰買い、肥汲みなど様々な3Rs職人がいた。

経済(2)色濃い文化が発展(寿司、相撲、歌舞伎、浮世絵など)。元々はただの大衆の日常の一部だったが、やがて経済発展に大きく貢献するようになった。文化が発展すると経済が発展するということ。文化の力で、大量生産-大量消費-大量廃棄なしで経済発展が可能だった。

経済(3)250年もの間平和な時代が続き、その為、多くの侍が本業を失ったが、国内外ともに戦争がなかったことが経済に余裕を与えた。

社会(1)欧人のコメント「上層も下層もあまり変わらぬ家に住んでいる。公職に付いていないものはかなり自由な生活を楽しんでいますが、支配層に属する日本人はひどい拘束に耐えて暮らしています。」権力を持っている人たちが、余計に資源やエネルギーを使える訳ではないということ。

社会(2)寺子屋などで、収入に応じた格安料金で教育が提供されていた。結果、当時類を見ない識字率の高さを誇った。教育など形のないものにお金が発生することは少なかったらしい。お金が、「マネー」という化け物と化してはいなかった。

社会(3)士農工商という社会制度はあったが、責任の度合いのヒエラルキーは逆ピラミッド型だった。頂点に君臨する侍が、国に対して最も責任を持っていた。その責任の大きさは「切腹」という行為に現れる。卑怯を嫌い、徳や義、仁を重んずる「武士道」が、権力者たちの倫理規範を保っていた。

まとめ:経済(Economy)、環境(Environment)、社会(Equity)の3Esすべてを見事にバランスさせた江戸は、歴史上稀に見る持続可能性の高い都市であった。持続可能な社会構築に向け、江戸にすべて合わせることが出来ないまでも、現代を生きる僕たちは真摯に学んでいくべきだろう。

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