見出し画像

副業人材に活躍してもらうための❝くればぁ❞なアイデア(後編)――副業こそ自分らしさをさらけ出すことが必要!?

前編では、副業人材とともに仕事を進めていくにあたって、「オープンでフラットな関係」「お互い楽しんで取り組める関係」を意識しているというお話を聞きました。
後編では、この考えの背景にある石橋社長の仕事観やくればぁのカルチャーについて聞いていきます。


――前編の最後に、社員よりも副業の方達に対しての方が「さらけ出している」と話していました。副業の方への向き合い方で大事にしていることは何でしょうか。

何より一番は、「くればぁさんと一緒に仕事できて良かったな、楽しかったな」って思ってもらいたいんですよね。

副業人材の方とは、本業があった上での一部の時間を使っていただいての関係ですし、直接お会いしないオンラインでの関係ですし、プロジェクトや契約期間が終われば関わりがなくなるわけです。だからこそ、業務終了となったときに「意味のある仕事、やりがいのある仕事だった」と思っていただきたいですね。

それは社員に対しても同じような思いがあって、社長になった当初から「行きたくなる会社にする」というのが一つの目標でした。

それぞれの家庭があり、プライベートがあり、人生がある中で、毎日8時間という貴重な時間を費やす場として仕事があるわけです。高尚な意識で仕事に向かおうとか、義務感で仕事に向かうとかではなく、すごくシンプルに足取り軽く職場に向かうような気持ちでいられるといいなと思っています。

だから、オープンな関係を意識しているということもつながっていて、外部の人材だからということで業務範囲を狭くしたり、情報共有を限定したりというのは、「お互い楽しめる関係」にはならないだろうなと思っているんです。

定義された範囲内での仕事よりは、広がりや奥行きのある仕事の方がやっていて楽しくないですか? 特に副業の方はプロフェッショナルな方が多いので、提示された課題に対して良い意味で拡大解釈して、我が事として向き合ってくださっているように感じます。

そのためにも、私の方からはできるだけいろんな情報を共有したり、失敗も含めてさらけ出したりしています。副業の方にも、普段どんなことを考えて仕事をしているのかを聞いてみたいですし、なぜこの提案や解決法を考えたのかの背景の理解にもつながると思っています。だから、議題通りに進めるミーティングよりも、雑談も交えながらの方が合っていると思います。

――そうした考えというのは、くればぁの社風でしょうか。それとも、石橋社長らしい仕事観でしょうか。

今のところは、私自身の仕事や人づきあいのスタイルかなと思います。

創業社長である父は、時代的な背景もあったと思いますが、商売人という感じの仕事観です。取引先や発注先はあくまで外部の会社なので、「儲けさせてもらった」「儲けさせてあげた」という経済的利益が軸にあると思います。社員に対しては家族的というか義理堅かったりで、会社も社員も自分が守るんだというリーダーシップの強さがありました。

私が社長を継ぐ前は、社会的にも副業や外部人材を活用する仕組みはそもそもなかったですが、父にしてみたら、副業人材とどう関わったらよいのかという戸惑いはあるかもしれないですね。身内なのか外部なのかどっちなんだと。

――「オープンでフラットな関係」という石橋社長らしいスタイルを、今後は会社の文化やくればぁらしさにしていきたいという思いはあるのでしょうか。

そうですね。社員に対して、「あなたもオープンにさらけ出しなさいよ」って求めることはもちろんないですが、「取引先でも発注先でも副業人材でも、関係性に上下はないよ」ということは話しています。

会社のブランディングとして、「そこが、くればぁ。ここが、くればぁ。みんな、くればぁ。」というスローガンを掲げていて、ちょうど先日、コーポレートサイトを新設しました。

(前略)自分たちでできることは、研究開発をする。その想いを語ることで、共感し合える企業とコラボレーションをする。社会全体の動きと足並みを合わせる。
メッシュを必要としている企業や人はこれまで以上に大きな広がりをもっていると思います。
メッシュで、地域を、日本を、世界をよくしていきたい。その想いが伝わることで「みんな、くればぁ。」な仲間を広げていきたいと思います。

https://japanclever.jp/thought/

ここで言う「みんな、くればぁ。」というのは、オープンでフラットな関係ということともつながっていると思っていて、目指したいのは「仲間を増やすこと」です。

一人だけでは、くればぁという会社だけでは、仕事やビジネスは何もできないと思っています。特に今の時代は「作って売っておしまい」ということではなくて、取引先含めた業界への影響、地域社会や地球環境への責任ということは前提になっていると思います。

それに、会社を一から作った実績のある父と違って、私は自分一人で仕事をできるなんて思っていません。分からないこともできないこともたくさんあります。

じゃあどうやったらいいかと言えば、知識がないなら教えを請うし、経験がないなら助けを借りるしかないですよね。

でも、ずっと助けてもらいっぱなしでは、いつまでたっても、自分も会社も成長できない。かと言って、一から地道に自分たちで学んで経験していくのでは、変化の激しい今の時代には、到底対応できません。

だからこそ、副業人材というプロフェッショナルの方達の知見・経験を借りて一緒に取り組んでいきながら、自分の経験にもしていきたいと考えています。ありがたいことに、近道をさせてもらっているんですよね。

そういう前提の考えなので、身内と外を区別したり、上下の関係ではまったくダメで、できるだけオープンに情報を共有して、お互いにフラットで楽しめる関係であることが大事だと思っています。

ただ、必ずしも今話したような私の取り組み方がすべてだとも思っていなくて、社員にもそうしてもらいたいとか、会社の文化にしていきたいというほど、強くは思っていない部分もあります。

「みんな、くればぁ。」として目指す世界は会社に共通だけれども、そのやり方はそれぞれの自分らしさがあると思っています。

今の私にとって必要だから副業人材も仲間に加えているわけですし、私らしいやり方としてオープンで楽しみ合いながら一緒に仕事をさせてもらっているという感じです。

――「みんな、くればぁ。」は一つの”みんな”ではなくて、自分らしさの集合体としての”みんな”ということなんですね。
「石橋スタイル」は抜きにしても、副業人材を積極的に活用していくということは、他の会社さんにもおすすめできると思いますか?

おすすめしない理由はないですね。特に中小企業の場合は、経営的にはデメリットがありません。

自社の課題を感じている部分があるのであれば、まず副業人材をあたってみるというのは最良の選択肢だと思います。特に自社にとって知見のない分野であればなおさら。

正社員で採用したところで、その仕事の良し悪しを判断することも、育てることもできません。自社にフィットして活躍するまでの時間も費用もかかりますし、その結果うまくいくとも限りません。

であれば、まず副業の方と一緒にやってみて、自分がその分野の知識や経験を少しでも身につけていき、やはり正社員として必要だとなったら一人採用すればよいと思います。しばらくは副業の方に伴走で育ててもらうこともできますので。

実際に知り合いの社長さんにもおすすめしたこともあります。その方は自分で起業して経営してきたので、課題に感じることがあっても相談できる人がいないって言うんです。だったら、その分野のプロの副業人材の方に入ってもらって、相談しながら進めていったらいいよって。

中小企業の場合は、そういうときに外部のコンサルティング会社に依頼することは予算的にも難しい。それに、専任の社員を置くほどの規模感ではないので、受発注の関係ではなく、副業の方と一緒に向き合って取り組んでいくことで、自分達の知見にもしていけます。

――前編後編にわたって、副業人材とwin-winに仕事を進める上での重要なポイントを伺うことができました。最後に言い残したことやまとめの言葉などはありますか。

フラットな関係とかお互いに楽しめる関係とかの話や、最後に話した中小企業にとっての副業人材の活用メリットの話ですが、これは「私がそう思っている」という以上の話ではないんですよね。ことさらに「副業のすすめ」のようなことを言っているわけでは全くありません。

あくまで、当社固有の課題があって、社長というより私個人という人間が取り組みたいスタイルがあって、副業の方に多く関わっていただいています。だから、「やるべきだ」というような感覚でやっているのではないですし、そういう義務感で副業の方と仕事をしても、自分も相手も楽しむことはできないと思っています。

たしかに、労働人口の減少や地方と都市の人材格差、リモートワークの普及や副業解禁の政策的な流れといった社会の変化や時代の流れはあると思います。

だからといって、自社や自分の「やりたい」という意思が曖昧な状態で、副業人材を活用したり、副業を始めたりということは、必ずしも良い解決策になるとは限らないと思います。

なので、最後のまとめという意味では、お互いに楽しめる関係でいられるためには、会社も副業の方も「一緒に仕事したいな」という思いを持って向き合うことが大事だよねということです。雇用関係でも受発注の関係でもないからこそ、「仕事への思い」のマッチングが副業活用の成功のポイントになるのかなと思っています。

――副業こそマッチングが大事……副業人材の活用に興味がある会社さんや副業を始めてみたいなと思っている方にとって、一つのヒントになりそうです。2回にわたり、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?