たぶん人生の宿題。(たわごとです)

二週間、仕事を休んでいた。
ただただ行く気にならなくて、朝は布団を引っ被って、パートナーが出勤するまでやり過ごしていた。
(仕事に行かないからといって、彼が私を責めることはない。ひたすら自分が気まずいだけ)


図書館で本を借りて読んだり、ヨガをしたり、物置部屋を整理したり、常備菜を作ったりした。穏やかでストレスフリーな日々が過ぎていった。
自由出勤といってもずっと休んでいる訳にはいかない。経済的にも働かなくてはならない。時々チクチクと刺してくる罪悪感。でも、イヤなものはイヤだととりあえず居直ってみる。
心が安心感に包まれた。これが人生だ。
やりたくないことはしないのだ。


二週間が過ぎると、仕事への義務感が薄れてきた。もうこのまま仕事辞めちゃいたいな、と、心底ふてぶてしい思いが湧いてきた。


私は今まで「もうダメだ」と感じたら、迷わず所属するコミュニティから外れてきた。それはもう超高速だ。
人間関係で悩む。苦手意識に苛まれる。自分と他人を比べて苦しくなる。ルーティンに飽きる。
そうやって自分の限界を察知すれば、今居る場所から離脱して、新しい環境を求めて動き続けてきた。


そのやり方でも、それなりに上手くやれてきた。
精神的に病んだ時期を乗り越え、得意分野を仕事にして、大好きな人と結婚できた。つくづくラッキーだと思う。


そう、でも、また仕事を辞めようとしている今
自分の心の中で「それでいいのか…?」と、囁く声がするのも事実。
やるべき事を保留にしているような感じがつきまとっている。


パートナーが昇進したので、お祝い気分で今日の夕食は鍋にした。
彼がいつものように、食べた後の片付けを手伝ってくれようとしたので
「いいよいいよ座ってて」と私は台所に立った。
もし専業主婦として働くなら、家事を全て引き受ける事になるのだ。という謎の責任感と高揚感が背中を押している。


「今週、仕事、何日か出るかんじ?」
パートナーがさり気なく訊いてきた。「いやー、なんか、仕事行く気にならないんよね」
そう答えると彼は面白そうに笑っていた。
だけどその後の私の言葉で、一気に雲行きが怪しくなった。
「仕事、辞めようかな。失業保険もらえば、お金も入ってくるし」


いつも食後に淹れる緑茶。
「お茶飲むかい?」と聞くと
彼は「いらない」。
私がお茶を二人分飲みながら喋り続けるのを、渋い顔で見ていた。
私自身、身勝手な思いをぶち撒けながら、自分がどれだけ分の悪い主張をしているかを悟り悲しくなってきた。

「ここで辞めたら、次ないで。」
彼が放ったその言葉、いろんな意味で重い。
そのうち、遠慮のない二人の意見交換(たぶん端から見たら私がやり込められてる)が始まり、痛い所を突かれながらも自分が何を考えているか、どうしたいかが、少しずつ誘導…というか、整理されてきた。


私は今、目の前のいやな事・面倒な事からとにかく逃げ出したい。
だけど、避けて通りたい物事にはどこかに自分の苦手分野が関係していて、それは克服しないかぎり人生に着いて回るもの。
だから目の前のいやな事を避けても、根本的な解決にはならない。


…いろいろ考えた結果、すっごくありきたりな文言に落ち着いた。すみませんね。
私は仕事を続けることにした。
これ以上、罪悪感にチクチクと刺され続けたくはない、少しずつでも、己の苦手分野と向き合ってみよう…。


何か宿題に取り組むみたいやね、という話になり
パートナーの人生の宿題は?と訊いてみたら、「接客と、上司とのコミュニケーション」と返ってきた。
彼はその宿題に取り組んで、この度、みごと昇進を果たしたのでした。

無理しない程度にがんばりましょう。
深夜の自分語りでした。

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