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短編:ピコの小さな家


高層ビル群の谷間にポツンと小さな家が建っているだろう?
それがピコの住処すみかだよ。
ピコの小さな家は周りを高いビルにぐるりと囲まれているんだ。神経質なピコは落ち着かなかった。常に見られているような気がしてピコは落ち着かなかった。

🌳


ピコは子供の頃、近所の森へ遊びに行った。
幼馴染や家族とも。

ピコは森に落ちているドングリを拾うのが好きだった。
時には一人で森へ出かけ、薄暗くなるまで夢中でドングリを拾った。





ピコには密かな計画があった。
ドングリを庭にばらまき、『庭を森のようにする計画』だ。
庭が森のようになれば、森が私を隠してくれる。周りの視線をさえぎられるはず。そう思いついたピコはそれから一人で毎日森へ通い、大量にドングリを拾い、節分の豆まきのように「鬼は外、福は内」と歌いながら庭にばらまいた。
そうしている内に一年が経ち、二年経ち…、庭のあちこちで芽が吹きだし始めた。ピコは喜んだ。
ピコは自分がドングリの大木たいぼくに登り、可愛い栗鼠リスたちと戯れる自分の姿を想像し、心を踊らせ眠りについた。




苗木程度の大きさになった所だった。
ピコの両親に気づかれてしまった。
「ドングリなんか植えたら庭に根が張って家が壊れるだ!」

ピコは叱られ、苗木は全て引っこ抜かれた。

ピコの計画は、とん挫した。

🌳🌳🌳



今でもピコは丸見えの小さな家で年老いた両親と共に暮らしている。

「あー引越ひっこしたい。引越ひっこしたい。」と、だみ声で呟きながらね。



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