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部屋の本棚をひとつだけにした話

ミニマリストを自称するわけでもないけれど(そこまできちんと部屋が片付いているわけでもないし)、部屋の中にあるものの把握をしておきたいと思った。

よくあるのは「あの引き出しの中にはなにがあるかわからない」ということだ。でもどうして自分の部屋の自分の引き出しなのに、『なにがあるかわからない』のだろうと思った。
僕の場合はそれが本棚で、リサイクルショップや古本屋などで衝動的に買ってしまった本たちが堆積して所狭しと詰め込まれていた。
いわゆる積読という状態に陥っていたのだ。

早速休日の朝から、ふたっつある本棚と睨めっこをして本の選別をした。
基準としたのは以下の通りで

  1. 読み通す予定のない本

  2. 繰り返し読み返したいと思わない本

  3. 珍しいだけ、ただの所有欲で持っている本

この3点を念頭に本棚の整理を始めた。
まずひとつ目、読み通す予定のない本。

これは表紙や装丁が可愛かったりして、「部屋に置いてたら素敵だな」とか、有名な作家の書いた小説だからきっと面白いはず、と思って買ってみたけれど、途中で飽きてインテリアと化した本たちだ。
こう書くと外見が良くて付き合ったけど性格が屑だった彼氏(彼女)みたいな感じだ。当の本たちが屑というわけではないけれども、好みの文体でなかったりストーリーでなかったり、もっと好きなストーリーがあったりして読むのをよしてしまったのだ。

ふたつ目、繰り返し読みたいと思わない本。
これは一度読み通した経験はあれど、文体や中身がとても難しい内容だったり、大判の分厚い本のような手に取るのが億劫なものだ。よくよく理解すれば知識の獲得にもつながるのだろうが、そうであっても今は手許になくてもいいかなと思った。

みっつ目、珍しいだけ、ただの所有欲で持っている本。
神話の神々が主役の悲劇だったり、シェイクスピアやカフカなど海外の文豪が書いた文庫小説は僕の中ではとても珍しく、(読みこなせたら)格好いいものだった。当時、僕はアプリゲーム「Fate/Grand Order」に熱中していたこともあり、ギリシャ神話に登場する英雄の伝記や出自を自分なりに探ることを楽しもうとしていた。けれど、いざ伝記や原作の翻訳を見つけても、難しい言葉で並び連ねられた文体には、薄弱な僕は簡単に根を上げてしまった。それゆえ彼らは本棚の隅で眠ることになってしまった。

「いつか読むだろう」と思って置いていても、読まないのであれば無駄なのだ。どんなに装丁が可愛くても、珍しくても、繰り返し読まないのであれば、一度読んで満足できてしまうのなら、それは本棚に置く価値はないんじゃないかと思ってしまう。僕も好きで良く掌編を書いているが、もしこの作品が本になって、僕の手を離れて、誰かに読まれる時、『本棚に置く価値のないもの』と思われるような作品は作りたくはないし、読む人にもそう思ってほしくはない。たまに読み返して、「そうそう、私この話好きなんだ」と思ってもらえるような作品を作りたい。
そのためにも、僕が心から好きで良く読み返す程度の本を数十冊本棚に置くだけにして、それらを繰り返し読んでいきたい。
また、今回の本棚睨めっこにより本棚にずいぶんスペースができたので、その空間をどうするか、これからゆっくり考えていきたい。それこそ、本を読みながら、ゆっくり。

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