ひなぎく

20代は会社の大型連休をつかって海外一人旅。30代は家事と育児と仕事で大忙し。40代は…

ひなぎく

20代は会社の大型連休をつかって海外一人旅。30代は家事と育児と仕事で大忙し。40代は母ロスと実家の片付けを経験し、今流行りのダブルケアラーになりました♡ そんなプチ介護生活と海外、読書、映画、洋楽、旅行などなど徒然なるままに綴っていきます☺︎

最近の記事

十の輪をくぐる 辻堂ゆめ

認知症の母をめぐる物語に惹かれて読んだ作品。 父も将来こんな感じになるのだろうかと思いながら、バレーボールには全く興味がないけれど読んでみました。 最初は主人公の泰介に全く感情移入できなくて、コイツサイテーな奴だなという嫌悪感を押し殺しながら読むのが辛くて辛くて最後まで読めないかもと不安になったけれど、もっと最悪なラスボス(万津子の夫)が登場してから目が離せなくなり、最後まで一気に読めました。 こんな作品をまだうら若き作家さんが書き上げたなんて、本当に信じられません。 ネ

    • 高齢な親の介護日記⑨

      2024年3月15日 金曜日 晴れ 今日はとてもよい天気。寒さもだいぶと和らいできた午後、春の日差しのなか父といつもの喫茶店へと向かう。 真っ青な空がずっと遠くまで広がっているものの、遠くの山々はぼやっと白く霞んで見えた。 「春霞だね、お父さん」 そう話しかけると、父は俳句を一句詠みあげた。 「春がすみ俺の頭も春がすみ どうだ?上手いだろ」 ひとしきり笑った後、父は更につけくわえた。 「春霞ならまだいいんだけどな、たまに闇夜になるんだよ。闇夜は怖いぞ。」 父がサービス付高

      • 高齢な親の介護日記⑧

        2024年3月1日 金曜日 晴れ 仕事帰りに父の施設により、冷蔵庫をチェックして いつも通り一緒に買い物に出かけた。 父は自分で買い物リストを作り、『コーヒーと洗剤』とメモ帳に書いているものの、一人で出かけるとなぜか牛乳とビールを買ってきてしまうので、二日に一回は一緒に買い物に付き添っている。 今日は良い天気だったので青い空を仰いだ後、施設の周りをゆっくり見まわしていると、父は普段はあまり気がつかない場所にある施設の従業員用の出入り口を見つけた。 「あの出入り口は一体何だ

        • 高齢な親の介護日記⑦

          2024年1月29日 月曜日 晴れ 期日前投票に父を連れて行った。 父に投票用紙を渡すと、父は大切そうに投票用紙を自分の鞄にしまった。 しかし投票会場まで向かう道すがら、 父は何度も立ち止まり、 「投票用紙、持ってくるの忘れたかもしれん」 と困った顔をした。 「投票用紙は鞄の中に入っているよ」 と伝えると 「どうしておまえは俺よりもよく俺の事をわかってるんだ」 と怪訝そうな顔をしていた。 投票会場での付き添いは禁止されていたので、職員の方に父の付き添いをお願いして私は出

        十の輪をくぐる 辻堂ゆめ

          現実逃避行①トルコ✖️マルタ

          ほんましんどい。なんのために私、生きとるん。子供らを世間でいう立派な大学とやらへ入学させるためやろか。はっきりゆうて私も中学受験して進学校で猛勉強して大学行ったけど、就職氷河期で大変やったし意味なかったのにあほらし。就職した会社は残業60時間あって残業代ゼロやったし、後輩はパワハラで死んだけど、そんときの上司がそれはその後輩がちゃんとしてへんかったから悪いってゆってたから、ちゃんとしてへんその後輩が悪いって思ってたわ。もうそんな昔のことどうでもええねんけど、今の私はなんのため

          現実逃避行①トルコ✖️マルタ

          高齢な親の介護日記⑥

          2024年1月24日 水曜日 雪 雪がチラチラとまいふる昼下がり、 父といつもの喫茶店へ行く。 1週間に3回は父と喫茶店へ行き、 小一時間ほど昔話をして一緒にコーヒーを飲む。 「うわぁ!雪がふっとるぞ!」 施設から一緒におもてに出た時、  父は驚いて声をあげた。 その後いつもの喫茶店でコーヒーを飲みながら ガラス窓の向こうに外の景色を見た時も、 お勘定を済ませて喫茶店から外に出た時も、 日用品を買いに途中で立ち寄った薬局をあとにした時も、 「うわぁ!雪がふっとるぞ!」

          高齢な親の介護日記⑥

          高齢な親の介護日記⑤

          2024年1月13日 土曜日 曇り 昭和の父親あるある。 家の事や子供の事は妻にまかせきりだったから、わからない。 私の父の場合は、典型的な昭和男子だからわからないのか、認知症になったからわからなくなったのかがわからない。 「カレンダーは全部もらうものだと思っていたけど、買う事もできるんだね」 「グンゼの下着はどこに売ってるのだろう」 このあたりは昭和男子を匂わせる。 「あんたはピアノ、習っていたっけ」 ピアノの発表会に母と来てくれてたよ。 「あんたは高校、寄宿舎か

          高齢な親の介護日記⑤

          高齢な親の介護日記④

          2024年1月11日 木曜日 晴れ 介護と仕事の両立について、バカなことを考えてみた。 育児と仕事の両立はそれなりに大変だった。最近でも小学校で娘の学級がインフルエンザで午後から休校になり、鍵を持たせていなかった娘のために早退した。保育園も小規模保育施設から転園したりと紆余曲折あったし、夕方以降に仕事で呼び出された時はベビーカーに娘を寝かせたまま職場に連れて行ったりもした。 もちろん仕事中に保育園から呼び出しの連絡を受けたこともあった。長男の時は数回発熱でお迎えを経験し、

          高齢な親の介護日記④

          高齢な親の介護日記③

          2024年1月4日 木曜日 雨のち曇り 大神神社に父と子供達を連れて初詣に行った。 朝は雨が降っていたから折り畳み傘を父にもたせた。お参りした後、電車の中で「なんで傘なんてカバンに入ってるんだろう」と父は首をかしげていた。 大神神社は白蛇の神様だ。私は巳年だということもあり小さい頃から家族三人で初詣にきていた。父は何故毎年大神神社に初詣に来ていたか思い出せないでいて「一番上の姉貴が巳年だから来てたのか」とつぶやく。「私も巳年だよ」というと「ああそうだったな」と言っていた。

          高齢な親の介護日記③

          高齢な親の介護日記②

          2023年12月31日 日曜日 曇り 父がサ高住に越してきてはじめて迎える大晦日。午後から父を私の家によんで、テレビ画面をYouTubeに切り替え、父が昔好きだった第九や岡林信康の曲を流して子供達と百人一首、将棋をして過ごしてもらった。父ははじめてテレビに映し出されたYouTubeの画面に目を輝かせていた。 生活のリズムが崩れないよう、施設での晩御飯の時間までには父を車で施設まで送りとどけた。 「まさか娘に車で送ってもらうようになるなんて」と言う父に、 「今までいっぱい送

          高齢な親の介護日記②

          高齢な親の介護日記①

          2023年12月11日 月曜日 晴れ いつも通り仕事帰りに父の部屋のインターホンを鳴らしたら、いつも通りドアの奥から「ほーい」と父の返事がある。 よかった。生きてる。 今日は晴れているし、洗濯も自分でしているもよう。ベランダにはバスタオルは2枚干してあるし、お風呂にも入っているみたい。よかった。今日の施設で提供されたお昼ごはんに鰻がでたことも覚えていてびっくりする。 実は認知症なんかじゃないのではと思ったけれど、何回も「今日は金曜日か?」と聞いてきた。 一緒に近くのコ

          高齢な親の介護日記①