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高齢な親の介護日記⑦

2024年1月29日 月曜日 晴れ

期日前投票に父を連れて行った。
父に投票用紙を渡すと、父は大切そうに投票用紙を自分の鞄にしまった。

しかし投票会場まで向かう道すがら、
父は何度も立ち止まり、
「投票用紙、持ってくるの忘れたかもしれん」
と困った顔をした。
「投票用紙は鞄の中に入っているよ」
と伝えると
「どうしておまえは俺よりもよく俺の事をわかってるんだ」
と怪訝そうな顔をしていた。

投票会場での付き添いは禁止されていたので、職員の方に父の付き添いをお願いして私は出口で待っていた。
父が浮かない顔をして出口からでてきたので、「ちゃんと名前書けた?」と父に聞くと、
父は申し訳なさそうにこう答えた。
「ひょっとしたら自分の名前書いたかもしれん」

別に自分の名前書いたっていいじゃない。結果はどうであれ、父も社会の一員として活動できたのだから。
「お父さんって面白いね!」
笑顔でそう父に伝えると、父はまんざらでもない顔をしていた。


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