見出し画像

人と人との繋がり

私は10年ほど前にとある外資系金融で勤務していた。私が入社したのは2011年3月。東日本大震災から2週間後のことだ。オフィスはまだ暗く、本業というよりお客さまの安否を確認している状況だった。私は入社後すぐに震災対策本部のリーダーにアサインされた。私が主に行った仕事は、震災地のお客さまへ物資の要望を聞き、物資を届ける仕事だった。主にトイレットペーパー、キッチンペーパーを何百、何千と送った。その中で、4月に入学を控えている娘のランドセルが津波で流されてしまった。ランドセルを送ってほしいという要望が届いた。僕は赤いランドセルを購入し、鉛筆とノートも購入してランドセルに入れた。そして、寝るときに枕元におけるくらいのかわいいお人形(僕が勝手にかわいいと思った笑)と手紙も同封して送った。あとから、無駄なものを買うなと上司にしこたま怒られたので、僕のポケットマネーから出した。手紙の内容は詳しくは覚えていないが、「寂しいときはこのお人形さんと遊んでね。私たちはいつも君のそばにいるからね」といった内容の手紙を送った。それから2週間後、その依頼主から本社に手紙が来た。「ランドセルに加え、ノート、鉛筆、そしてお人形も贈ってくれてありがとうございました。娘は毎日お人形を抱いています。きっと寂しかったのでしょう。同封頂いた手紙は、娘は字が読めないので、私が読んであげました。喜んでました。本当にありがとうございました。このご縁は一生忘れません。そして○○会社のカードは一生使い続けます」という内容だった。実はこの時私は離婚直後でかなりへこんでいた。この手紙をみて、離婚ショックからすぐに立ち直った。ネットの世界だけでは人と人とのつながりは醸成できないこともある。手紙の方が心が伝わることもありますよね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?