【そもそも解説】ICFって?
こんにちわ、momoです。
今日は社会福祉士試験や精神保健福祉士試験、介護福祉士試験で頻出されるICFについて解説したいと思います。
そもそも、ICFは国家試験で頻出されるものの、「どういった概念や内容なのか分からない」「なんとなくで解答している」という方も多いのではないでしょうか。
そこで、本noteで徹底解説することでICFについての理解を深めていただくとともに、実践場面においてもICFを活用してのケアプランを作成したり、多職種と連携しての支援が実施できるようになることを目指していくことができればと思います。
それでは、解説を始めていきます。
■ ICFの概要について
ICF(国際生活機能分類)は、人間の健康状態や心身の機能、環境による影響の評価を表す世界共通の分類方式で、健康状況を把握するための共通言語として用いられています。
ICFの正式名称は「International Classification of Functioning, Disability and Health」の頭文字を取ったもので、日本語では「国際生活機能分類」と訳されます。
ICFは2001年のWHO(世界保健機関)総会にて採択され、現在まで医療・福祉・介護の現場でアセスメントをおこなう際の枠組みとして活用されています。
つまり、ICFは個人の環境や健康状態を世界共通の基準で理解するためのツールであり、これを活用することで個々の状況を把握し、より良い生活を送るためのサポートを行う指標とするともに、共通言語として医療・介護等の分野で共通理解を図るためのものになります。
■ ICFの目的について
ICFを実施する目的を下記の3点に要約しまとめてみました。キーワードは健康に関する状況把握・状況理解、共通言語・共通理解の確立です。
■ ICFの前身であるICIDH(国際障害分類)について
ICFの前身であるICIDH(国際障害分類)が1980年に発表されました。
「International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps(機能障害、能力障害と社会的不利の国際分類)」という名称にあるように、障害を機能・能力・社会の三階層に分けて捉えています。
この障害構造モデルは1982年に国連総会で採択され「障害者に関する世界行動計画」にも取り入れられました。
■ ICIDH(国際障害分類)の問題点
一方で、ICIDH(国際障害分類)は下記の点での問題点や課題点が指摘されていました。
障害の発生による困りごとには疾患(病気)のみならず、環境的要因等のさまざまなことが絡み合って起こります。
しかし、障害がもたらすマイナス面のみの視点になっていたこと、環境的な因子が考慮されていなったことが問題視されました。
そして、ICFではプラス面の重視や環境因子の考慮等といった事項が引き継がれ、改善されていったという流れを抑えておきましょう。
■ ICFの6つの構成要素
ここからICFの具体的な6つの構成要素について詳細に解説していきます。
まずは、下記の図(介護福祉士国家試験対策プリントより抜粋)から全体構成を掴んでいただければと思います。
① 健康状態
健康状態は、病気・怪我・障害の有無等その人の健康状態を指す概念です。具体例として病気、怪我、障害状態、妊娠等が挙げられます。
② 心身機能・構造
身体機能・構造とは、心や身体、認知状態等の機能状態を指す概念です。具体例として片麻痺、認知症状、下肢機能低下等が挙げられます。
③ 活動
活動とは、生活上の目的をもっておこなう、具体的な行動のことを指す概念です。具体例として歩く、読書する等の日常的な生活動作が挙げられます。
④ 参加
参加とは、家庭や社会に関わること、役割を果たすことを指す概念です。具体例として主婦として家庭での役割を果たすこと、地域ボランティアの一員として役割を果たすこと等が挙げられます。
⑤ 個人因子
個人因子とは、その人が持つ固有の特徴を指す概念です。個人因子は「個性」とも言い換えることができ、その人の価値観・ライフスタイルなどに近い概念といえます。
⑥ 環境因子
環境因子とは、その人を取り巻く人的・物的な環境すべてを指す概念です。具体的には、建物や道路、交通機関、自然環境などの物的環境のほか、家族や友人、同僚などとの関わりである人的環境、医療や福祉をはじめとするあらゆる法律や制度などの制度的環境が挙げられます。
■ 社会福祉士・精神保健福祉士試験、介護福祉士試験の過去問題で確認
● 令和5年度社会福祉士・精神保健福祉士国家試験「人体の構造と機能及び免疫」より
・選択肢1:年齢、性別は「個人因子」に分類されるため誤りとなります。
・選択肢2:左片麻痺は「心身機能・構造」に分類されるため誤りとなります。
・選択肢3:手すりに伝って歩くことは、生活上の目的をもっておこなう、具体的な行動のことに分類され「活動」に該当するため、正解となります。
・選択肢4:近所に長女が住んでいるのは「環境因子」に該当するため誤りとなります。
・選択肢5:デイサービスの利用は「参加」に該当するため誤りとなります。
● 令和2年度(2021年)第33回 介護福祉士国家試験:問題19より
・選択肢1:アルツハイマー型認知症は疾病にあたり「健康状態」に該当するため誤りとなります。
・選択肢2:糖尿病があるため服薬をしているは日常生活行為にあたり「活動」に該当するため誤りとなります。
・選択肢3:医者嫌いであるは個人の価値観にあたり「個人因子」に該当するため誤りとなります。
・選択肢4:町内会の会長を務めていたは社会的役割にあたり「参加」に該当するため誤りとなります。
・選択肢5:娘が近隣に住み、毎日訪問しているは人的環境にあたり「環境因子」に該当するため正解となります。
■ まとめ
いかがだったでしょうか。
ICFの問題は社会福祉士試験、精神保健福祉士試験、介護福祉士試験で頻出項目であるとともに、個人の健康状態だけでなく、生活機能や社会的な参加も包括的に捉える重要な枠組みになります。
社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士にとって、クライアントの全体像を理解し、適切な支援を提供するためには、この概念をしっかりと理解し、実践に活かすことが大切です。
ICFを活用することで、利用者の個性や状況に合わせた支援計画を立て、より質の高い福祉サービスを提供することが可能となり、共通言語として他職種・他機関との連携協働がより一層促進される効果が期待されます。
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