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社会人教育はじめます

このたび、機会に恵まれ、社会人教育に携わらせていただきました。
一年前には社会人教育に関われるなんて想像だにしませんでした。
普段とはかなり違うお仕事だったのでどのように取り組んだかを記しておこうと思います。

どんな教育?

今回お話をいただいた講座の内容はディープラーニングを学ぶというものでした。
ただ、ディープラーニングと言っても基礎的な数学から始まり、Kerasを使ったニューラルネットワークの構築、および応用、学習データの作り方など、基本的なことを網羅しつつ、好きな画像を識別する識別機(ニューラルネットワーク)を作るというかなり深く、広い内容です。
そのうち、筆者が担当させていただいたのはプログラミングをはじめとしたより実務に近い部分です。
イメージとしてはコードを解説して受講者の皆様に実際に手を動かしてコーディングをしていただくという感じです。

この案件に携われた理由

そもそも、教育に縁もゆかりもない一端のエンジニアになぜこの話が舞い込んで来たかと言いますと、手が空いたときに作っておいたポートフォリオがきっかけでした。
この企画が持ち上がったとき、ディープラーニングのプログラミングができるエンジニアを探していたそうなのですが、その際に作っておいたポートフォリオサイトを使って合同会社Haikara City代表のあけまつさんが紹介していただいたそうです。
自分にとってもこのようなポートフォリオの使われ方をするとは思っておらず、成果をまとめておくことの重要性を実感できました。

意識したこと

内容を詰め込みすぎると逆に何も得られず終わるという話は知っていました。
かといって、内容を削ぐアプローチを取ると関係ある部分まで削ってしまう恐れがあると考えました。(筆者はそれで今まで何度も痛い目を見てるので違うアプローチが必要であると考えていました。)
そこで、逆の発想で必要最小限の内容から作ってそこに肉付けしていくアプローチで講座を組み立てました。
(例えば、CNNを作るところなら必要最小限のコードを準備したうえでその背景の説明が必要と判断したら座学の時間を用意するなど)
また、今回はニューラルネットワークと学習データ作成と分野が独立していたこともあり、テーマが変わったとしても実務で使えそうな知識とコードを意識して講座を構築しました。
また、専門的でわかりにくいところでは例を盛り込みイメージと連動させて理解していただけるように意識しました。
これはかなり内容が高度で講座を受けるのが億劫だと思われないように親近感を持っていただく狙いもありました。
もうひとつ、講座を準備するうえで意識したこととして、実習で打ち込んでもらうプログラムがなるべく簡素な表現がないかどうかを常に気にするようにしました。
プログラミングをお仕事にされている方ばかりとは限らないと思い、なるべく短いコードの方が書きやすいだろうという意図があってのことです。
その結果、自分でも知らなかった表記方法をいくつか知ることができ、こちらも非常に勉強になりました。

イメージと現実のギャップ

ディープラーニングといえば、「世界を圧巻する夢のような技術で人間の心を持ったプログラムが自動的に仕事をやってくれて〜」みたいなイメージが一部ではあるようです。(強いAIをイメージしているということです。)
逆に、「流行ってるだけで何の役にも立たない」というイメージも一部であるようです。(こちらは、今まで新しいことをやらずともやってこれた、だからこれからも新しいことはやらないという考え方です。)
筆者はどちらも間違っていると考えています。

・成功事例は確かに凄いが、何でもできる夢のような技術ではない
・実際にディープラーニングが活用されている事例があり、役に立たないなんてことはない

この講座を受けていただく以上、このイメージは正さなければいけないと思っていました。
ですので、面白い部分も見せつつ、実際には泥臭い面も多いことを実感していただく必要があると考えました。
そのため、画像の前処理や収集など、長い時間をかけて受講生の皆様にやっていただきました。
おかげさまで、「前処理が大変でイメージが変わった」、「チューニング(ニューラルネットワークで使うパラメータを調整する作業)が思っていた以上に泥臭い」という感想をいただくことができました。

オンライン講座

このようなご時世ですので、集合しての講座は避けなければなりません。
となると、必然的にオンラインでの研修となるわけですが、こちらでもオンライン会議ツールのzoomが役立ちます。
オンライン会議をするのと同じように集合して、こちらから受講者のみなさまに画面共有でスライドを写しながら説明するというスタイルで講座を進めました。
実際にこのスタイルで講座をやってみたところ、慣れたPCで操作できる、特に違和感なくしゃべれる、(筆者にとっては)大衆の前でしゃべる緊張感がないなど、非常にスムーズに講師を担当することができました。
最近ではワクチンの話が出始め、徐々に元の生活に戻れそうな気配が出てきましたが、オンラインでの講座も非常にメリットが多く、こちらの文化もぜひ浸透してほしいと願っています。

トークスキル

筆者は正社員時代からコミュニケーションに難があるとして不利を被ってきました。
正直、話すのが苦手な自覚はありましたし、自分にこの案件は務まらないのではないかと最初は思っていました。
しかし、今回この講座を任せてくださった関係者の方はそんなこと気にもせず、絶対に大丈夫だからと励ましてくださり、それなら全力でやってみようという意思が勝りました。
いざ、自分の番が回ってくると、最初の回こそ緊張してしゃべる以外の余裕がありませんでしたが、回を重ねるごとに緊張が和らぎましたし、不測の事態にも冷静に対処することができ、受講者へ不安を与えることがなくなったと思います。
それだけでなく、受講者の様子を見て時間配分をどうするか考える、ここで冗談を交えてみるなど、話の流れを考える余裕が次第に生まれました。
おそらく、これが慣れというものでしょう。
最後の方の回になってくると物足りなさや上手く喋れなかったところのリベンジがしたいと考えるようにすらなっていました。
正直、この講座を担当する前からは考えられない心境の変化です。
きっかけさえあれば人は変わるという話は本当だったのですね。

最後に

最初は三ヶ月に渡る講座は長いと思っていたのですが、終わってみるとあっという間でした。
そして意外と自分は講師業もいけるなと実感できました。
講師業という初めてのお仕事に不安を覚えることも多かったですが、いかに講座をよくするか、試行錯誤しているときは楽しいと感じることも多かったです。
よく、仕事のやりがいという言葉がありますが、実は筆者にはあまりピンと来ていませんでした。
ですが、今回のお仕事をやり遂げたとき、大変さよりも嬉しさが上回り、機会があればもう一度このような案件を担当したいと思えていました。
きっと、これがお仕事を通じてやりがいを感じるということなのでしょう。
そして、思いもよらず、自分のスキルが「システム開発×社会人講師」という二つ目の柱を手に入れることができました。
三つ目の柱を手に入れられるように今年は動いていきたいと思っています。

お仕事について

筆者はお仕事を募集しております。
講師業もそうですが、開発も可能ですので、お仕事のお話などあればこちらからお願いします。
(実はこのセリフを言うのが独立してからの憧れでした笑)

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