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猿の見る夢|桐野夏生

女、金、出世、介護、そして遺産。

出てくる人すべて貪欲で身勝手、
駆け引き、屁理屈、保身、腹の探り合い。
それに『夢見占い』の女性が入り、
物語は展開していく。

禍々しい表紙をめくると、
血色のエナメル質の1ページ。
そこからもうストーリーは始まっている。


登場人物がどんどん入り組んで、

中だるみになりそうなところを、
うまく書き分けて、
追いついて行けるのは著者の力量。

みんな自分を正当化するのに長けていて、
それぞれの言い分を聞けば、
それもそうかと思わせる。
だから桐野夏生はやめられない。


興味深い『三猿』の話。

『四猿』は初めて知った。
『せ猿』の意味。
そして、題名に帰結する。

暗闇に置き去りにされた夢のような読後感。

今夜は夢を見たくない。
そう思いながら眠りについた。


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