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#小説

『グレイラットの殺人』 M・W・クレイヴン 著

『グレイラットの殺人』 M・W・クレイヴン 著

「ワシントン・ポーシリーズ」第4作

今作もワシントン・ポーとティリー・ブラッドショーのやり取りが面白い。
それにエミリーも最高。

過去の事件で007の主人公たちのマスクをした強盗が銀行強盗をするシーンから始まる。
何故か何も盗まず死体とラットの置物を置いて去る。

マッサージパーラーでサミット関係者が殺される事件が起こる。
ポーとブラッドショーはこの事件を捜査することになる。

今回の操作はF

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『法廷遊戯』 五十嵐 律人 著

『法廷遊戯』 五十嵐 律人 著

この小説で面白いのが「無辜(むこ)ゲーム」

法科大学院ロースクール 法都ロースクールで行われるゲームでルールは、
・加害者・被害者・審判者の3人で行われる。
・ゲームに参加する被害者は審判者に対して証人を引き出し、犯行の手口を立証するなどして犯人を特定する。
・証人は否定か肯定でしか答えられない。
・証人は嘘をついてはいけないが、自分の罪が暴露される場合は嘘が認められる。
・証人は審判者の問いに

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『ハサミ男』 殊能 将之 著

『ハサミ男』 殊能 将之 著

主人公は頻繁に自殺をしようとする。
そして自殺未遂のたびに面談する医師との会話が印象的な始まり。

この主人公 正体はハサミ男。
樽宮 由紀子(たるみや ゆきこ)を次のターゲットとして狙っていた。
学校で待ち伏せ、家を特定し殺す機会を伺う。

そんな最中、樽宮 由紀子は殺されてしまう。
ハサミ男ではなく模倣犯に。

その模倣犯を見つけるために本物のハサミ男は調査を始める。
被害者宅に近づいたり、関

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『硝子の塔の殺人』 知念 実希人 著

『硝子の塔の殺人』 知念 実希人 著

一条 遊馬(いちじょう ゆうま)が閉じ込められているシーンから始まる。
そして、そこに至るまでの4日間をこの遊馬の目線で語られる。

場面は戻り雑誌の編集者、霊能力者、小説家、刑事、そして名探偵などが硝子の館に招待され大きな発表が行われる。がその発表前に館の主人の神津島 太郎(こうづしま たろう)が密室で毒殺される。

そこから始まる連続殺人だが不可解なことがたくさん起こる。

時々感じる人の気配

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『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー 著

『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー 著

この小説の面白さは皮肉たっぷりのユーモア溢れる言い回しにあると思う。

ストーリーは次々と展開していくが正直やりとりが面白い小説なので、ずっとやりとりのシーンを読んでいたくなる。

主人公フィリップ・マーロウは危険な人物にも臆せず堂々と振る舞う。どんな相手でも、どんな不利な状況でも挑発的な言い回しで相手の痛いところを突き話を優位に持っていく。

それに危険な仕事をしているにも関わらず、報酬は必要最

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『爆弾』呉 勝浩 著

『爆弾』呉 勝浩 著

爆弾魔と警察の心理戦から見えてくる、揺らぐ自分の中の何か。
本当に守るべき人とは? 正義とは?
そして、その答えが分からなくなる。

人は自分の仲間だけを助ける。
これが本当の世界なんだと思い知らされる。

綺麗事を掴み直すラストが妙に腹落ちする。

読みは始めたら止まらなくなる疾走感。
自分に問われる正義。
最近読んだ中でベスト1位のエンタテイメントミステリー小説。

このミステリーがすごい!(

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『われら闇より天を見る』クリス・ウィタカー著

『われら闇より天を見る』クリス・ウィタカー著

出版 早川書房(2022/8/17)

ゴールド・ダガー受賞
このミステリーがすごい 第1位
週刊文春ミステリー 第1位
ミステリが読みたい! 第1位

読んでいくと何度も勘違いをしてしまう。
見た目で怪しんだり、1つの行いを見て判断したり。

語り手が変わると見え方がガラッと変わる。
愛が知人を救い、愛が他人を傷つける。

死んだ人たちは本当に死ぬべき人たちだったのか?
殺人をした人は本当に殺人

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『オリエント急行の殺人』アガサ・クリスティー著

『オリエント急行の殺人』アガサ・クリスティー著

1934年発表
1974年と2017年には映画化もされた作品

最初のあたりで感じた違和感を読んでいく内に忘れて推理してしまった故に驚いた。

あまり推理小説を読んでいないからか、こんな終わり方があるとは思わなかった。

結末に解き明かされるトリック、真犯人に驚き。
犯人のその後に、と2度驚いた。

真実とは正義とはを問われる。
これは本当によく考えたい内容だが、悪は本当に悪なのか?
善は本当に

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『死神の精度』 伊坂幸太郎 著

『死神の精度』 伊坂幸太郎 著

ストーリーは死神が対象者を一週間調査して可否の判断をし対象者の生死を決めていく。
それに至るまでの人間ドラマと謎に迫るものになっている。

作中にも何度も出てくる話として死神は大抵の場合調査結果は死という決断をするのが常識のように語られている。

そして、ほとんどの対象者が死んでいく。
死んでいくのを前提として読んでいることもあり余計に物語の途中でも死を意識させられる。
100日後に死ぬワニ的な感

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