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円安なのに株価はなぜ下落?

20年以上ぶりの円安


先週、政府が為替介入をしたものの、9/26時点のドル円為替レートは143円台と20年以上ぶりの円安水準が続いています。下記図は、1990年~2022年8月末までのドル円チャートで、足元(143円台)ではバブル期の為替レートに迫る勢いで円安傾向となっています。

出所:日銀データより作成

円安と聞くと、株価が上げると認識されている方も多いかもしれません。直近では、アベノミクスと黒田総裁による強力な金融緩和によって、円安と株高が実現していました。米国や中国を中心に世界的に景気回復していたため、日本国内においても企業業績が回復傾向となっていました。

世界景気は鈍化傾向となりそう

出所:IMFのデータを基に作成
出所:IMFのデータを基に作成、2022年以降はIMF予測

上記は、2021年以降と前の実質GDPの推移を掲載しました。2021年より前は中国が平均で8.7%程度で、アメリカが平均で2.5%程度(リーマンショック前後、コロナショックを除く)で推移していました。2021年以降では、中国が平均で4.9%程度、米国は2022年を含めて平均2%、2022年を除くと平均1.6%となり、2021年以降は鈍化すると予想されています。

中国では、ゼロコロナ政策や不動産部門の危機が悪化していることなどから、足元で景気減速しているとともに今後も成長鈍化となっています。

アメリカでは、家計購買力の低下や金融政策の引き締め強化によって予想される影響などを理由に民間消費の勢いが大きく衰えることから今後も成長鈍化となっています。


以上のことから、直近のアベノミクス(2012年11月より)と黒田総裁による強力な金融緩和(2013年4月より)が行われた時との違いは「世界景気」なのだと考えられます(他にも色々あると思いますが)。

日経平均はなぜ上昇しないのか

円安かつ世界景気が拡大基調であれば、需要も増加傾向にあり企業も儲かると思いますが、景気が縮小基調にある中で円安となった場合は、需要が減少傾向にありモノが売れず儲かりにくくなると考えられます。
これは、短い視点で見れば一時的には円安効果による利益増大は期待できますが、中長期の視点では需要減少による利益の減少が想定されます。

つまり、短期的な足元の業績ではなく、中長期で世界景気が減速し、需要の減少、円安効果の剥落とともに企業の利益が減少するという流れから、市場では「”円安だから”日経平均株価を買う」とはならないと思われます。
市場が見ているのは「為替の動き」ではなく「企業の利益」と言えます。

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