見出し画像

■50歳男性の髪型事情


50歳ともなりますと、すっかり髪も薄くなってしまうものです。TVで、「このハゲが!」という芸人さんのいじりが聞こえると、つい我が子に、「お父さんもハゲだからなぁ」と寂しげに呟き、「ハゲではないよ」と言ってもらっています。この言葉を聞きたくて、子どもに聞こえるような声で呟いてしまうわけです。

私が子どもの頃は、散々ハゲている人をいじったことがあります。自分が言っている時は気にしていませんでしたが、いざ自分が言われる側になるとこんなにも辛いとは思いませんでした。しかし因果応報という言葉もある通り、子どもはハゲていないと言ってくれますが奥さんは……。
「髪の毛が細くなったからだよ。まぁハゲだけど」
とはっきりと言うのです。

なんで子どもの頃は、あんなことを言ってしまったのでしょうか。悲しい限りです。

■研修医の頃から変わらない髪型の理由


友人と久しぶりに会うと、お互いにすっかり寂しくなった髪の毛の話になるのですが、よくぞここまでというような剃り上げる友人もいれば、後頭部から薄くなったてっぺんを隠している友人もいます。しかし私は、実は研修医の頃から髪形を変えていません。

物を断捨離したり、自分を変えたりするには自信がないとできないと言いますが、まさしく私は自信がないというか‥。

中学生・高校生・大学生のときは朝、頭を洗って髪形をきっちり整えて出かけていたのですが、忙しい研修医ともなると、そうもいきません。でも、当直明けのどうしようもない日を除けば「髪形命」でした。

ある日、麻酔科研修をしていたとき、手術室から出て麻酔科の美人医師(陰ながらミス医大と呼んでいました)から、「今日の髪型ナチュラルでいいね」と言われたことがありました。その言葉が、私の髪型の人生を決めたと言っても過言ではありません。

私は手術が終わると、すぐに鏡のある部屋に行き、自分の髪型を確認しました。あの美人医師が素敵だと言っているのだから、この髪型が正解なのだと思ったわけです。ガラケーでその髪型の写真を撮り、それを再現するようにしました。

しかも、当時の彼女(今の奥さん)とデートの際に、「髪型変えたんだ。それいいね」と言われたので、やはりこの髪型が正解なのだと思ったのがきっかけで、それ以降ずっと同じ髪型です。

■昔は褒めてくれた髪型は今は……


そんな話を医局でしていたら、後輩の先生がいつもスーツで出勤するのは彼女にスーツ姿を褒められたからだということを教えてくれました。他にも、友人医師がいつも眼鏡をしているのは、ある看護師さんに眼鏡姿を褒められたからそうです。視力が2.0あるので、伊達メガネですが。

私はミス医大と奥さんに褒められた当時の髪型で今もいます。
奥さんは、
「床屋に行ったら頭のてっぺんに合わせて、周りをすいてもらわないとダメだよ。じゃないと不格好だからね」
と言ってきます。もう昔のことは覚えていないのかもしれません。

でも奥さんが言うことだしなぁと思っていたら、床屋でうっかり、
「頭のてっぺんすいてください」と言ってしまいました。すると、
「てっぺんすいたらハゲ丸出しだよ」と笑われてしまうことに……。

そんなこともあって、不格好ではないこの髪型を、未だにキープしているのですが、奥さんはもう褒めてはくれません。いえ、褒められたのも、その1回だけだったのですが。

これが私の『人に言えないちょっとした秘密』です。髪型を褒められたのが本当に嬉しかったんですよね。また褒めてくれたらいいのにな……と内心思っているのも、私の秘密です。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?