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病気や怪我の治療にあたったり、検診や生活指導などを通して国民の健康を守る医師という職業ですが、国が違うと資格の取り方から取ってからの働き方まで様々な違いがあります。日本とアメリカでは医師を取り巻く制度に大きな違いがあるのです。
今回は日本とアメリカの医師の精度の違いを見ていきます。

■そもそも日本で医師になるためには

そもそも「まず日本で医師になる方法や医師になってからのキャリアがどんな感じか知らない」という方も多いかと思いますので日本で医師になる方法やなった後の働き方について見ていきましょう。」

日本では医師になるためには医学部を卒業する必要があります。医学部は他学部と異なり6年制となっています。6年間の医学部を卒業すると医師国家試験の受験資格が得られます。
医師国家試験に合格すると医師として働くことができるようになります。
初めの2年間は研修医として勤務することになります。この2年間で研修医は将来どの科を志望するかに関わらず、内科・外科・救急科・産婦人科・小児科といった必修科を含んだローテート方式で研修を行います。研修が終了したら専攻医となり自分が志望する科の専門医になるための研修をしていくことになります。何科の医師になるかは自由に決めることができます。

■アメリカではどのようにして医師の資格をとるのか
アメリカで医師免許を取得するまでの流れを見ていきましょう
アメリカで医師免許を取得するためにはメディカルスクールを卒業する必要があります。このメディカルスクールの入学の試験を受けるためには学士号が必要になります。
つまり4年制大学を卒業している必要があるのです。メディカルスクールは4年制なので、大学卒業+メディカルスクール卒業の8年間が医師国家試験受験資格を得るために必要となるのです。

医師になるための国家試験も日本のものと異なります、アメリカの国家試験はUSMLEという名前で、Step1-3に分かれています。これら全てに合格すると医師になれるのです。
また国内全ての場所で有効な日本の医師免許と異なり、アメリカの医師免許は州ごとに交付されますので、別の州で医療を行おうとすると再度医師免許を取得する必要があります。
こうやって見てみると日本よりも医師になるためにふむべきステップの数が多く、医師になるための道のりは険しいようです。

但し日本で医師になるためには当然医学部に入学する必要があり、医学部は全学部の中で最も入学が難しくなっています。大学入学時点でのハードルが高いことから日本の医師免許の取得がアメリカと比べて著しく簡単ということではありません。

■日本とアメリカの医師の働き方の違い
日本の医師とアメリカの医師の違いは様々ありますが大きなものとして「専門医」と「標榜科」のあつかいのちがいがあります。

日本の専門医は国が認めている、というものではありません。それぞれの診療科についての学会が独自に試験を行い認定するかたちとなっています。また異なる専門の医師が専門外の診療科を診ることも許されています。例えば呼吸器内科の専門医を持っている医師が脳梗塞の患者の診察をすることもできるのです。また病院がどの科を診療することができるかを表示する標榜科についても、その科の専門医がいなくても表示することができます。例えば呼吸器内科専門医が在籍していなくても非専門医が呼吸器疾患を見ていれば呼吸器内科のある病院として記載することができます。これは医師は全身のある程度の疾患は専門科に関わらず診察できる能力が求められているという考え方によるものです。高度に専門的な内容はその科の専門医が診るべきだが、医師なら基本的な疾患は国家試験や研修医時代に習得しているという前提なのです。

アメリカでは専門医の区別が日本よりしっかりしています。専門医は国が統一的に認定していますし、専門医でなければその科の診療ができないのです。また勤務年数や経験に応じて収入が左右される日本と異なり専門科によって収入が決まります。能力に応じて選べるか科目がきまってくるのです。そのため収入の高い診療科とそうでない診療科が存在し専門科によって競争率が違ったり収入が違います。

日本の専門医制度の良いところは、自分の専門とする科目しか見ることのできない医師が少なくなり、多くの範囲をカバーしつつ自分の専門とする科目については深く精通した医師が育ちやすいところにあります。また地方の医師が不足しているような地域では様々な診療科を少人数で見ていく能力のある医師が育ちやすくなります。

アメリカの制度では専門医制度が確立されているので自分の専門とする科目に高度に精通した医師が育ちやすいというメリットがあります。

このような違いが生まれる背景には医療保険の制度の違いも関係していると思われます。日本では国民皆保険制度があり、日本国民であればどの病院でどの医師から治療を受けても行なった医療行為が同じであれば料金はおなじになります。アメリカは皆保険制度でなく民間の保険に各々が加入する形であり料金は病院が定めています。

全国のどこでも同様の料金で一定水準の医療の提供をめざす日本の医療では、幅広い専門性を持つ医師が必要になります。一方で自病院の医療水準で料金が変わるアメリカの制度であれば専門性を突き詰めた医師が必要になってきます。両国とも方向性は違えど医師に高い能力が求められるというのは変わりありません。

■まとめ
今回は日本とアメリカの医師の働き方の違いについて解説をしていきました。日本とアメリカの医療制度の違いから医師に求められる能力も違いがあり、両国での医師の働き方には多くの相違点があります。しかしどちらの国も高い能力が医師に求められており、医師は日々研鑽をつんでいます。

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