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【医学生まんが】 医学生がするバイト 巫女さんバイト

 医学生は勉強しないといけないし忙しいからバイトなんてしないだろう?
実際には、興味があったり、遊ぶお金が欲しかったりするのでバイトはしたいのです。
 私は地方私立医大出身です。学費が高く、周りは裕福な家庭が多かったですけど、そうではない学生の友人や先輩後輩たちは、バイトをしていました。また、遊ぶお金というか、恋人とのデート費用やゴルフやヨットを趣味にしていた人たちもバイトをしていました。

 たださすがに試験を落とすわけにはいかないので、試験期間2週間ぐらいの長期休暇を年3-4回とれるところは、よっぽど店長が理解のある方か特殊なバイトになるでしょう。

 さて、ではどんなバイトをしていたかと言えば、多かったのは先輩医師の論文、先輩医学生のレポートの手伝いや家庭教師でした。また近くにゴルフ場がありましたので、荷物運びはボール磨きが大学では有名でした。

 単発バイトで、物流倉庫での荷物さばきなどみんな人脈を活かして、バイト雑誌や新聞の三行広告を見て探しているのでした。今のように、アプリで簡単にバイトが見つけられる時代が来るとは30年前の私が医学生のころには想像もつきませんでした。

 さて、私の驚きのバイトは、研修医のときにおつきあいしていた彼女と初詣に行ったときでした。

 いつも年末年始は実家に帰っていたので、大学のある石川県の初詣に行くのは初めてでした。

 大きな神社での初詣。

 参拝して願い事をし、御守りを買い、甘酒を飲んだりしていました。

 いやー巫女さん綺麗な人ばかりだねと思わず呟くと、彼女には、「いやらしい」と凄い目で睨まれました。

 ここの巫女さんは綺麗な人たちばかりだろ? 何しろオーディションがあるんだからと何処ぞの酔っ払いのおっさんに話しかけられました。

 ガラの悪いところに来てしまったかな?ともう帰ろうとしたところ、「バンッ」と言う大きな音がして、人が倒れていました。救急車だ、救急車ーと言う声がしたので、見に行ったところ、けいれんを若い成人男性が起こしていました。

 大丈夫ですか!大丈夫ですか!と巫女さんが体をゆすっています。

 けいれんは小児科研修医とは言え、私の専門領域でした。

 「あー。吐くといけないから、横向かせますよ。あと、話しかけたりすると興奮してけいれん止まらなくなりますよ」と呼吸が楽な姿勢をとるとしばらくして落ち着きましたが、正月の寒い夕方でしたので、販売所のバックヤードに寝かせましたが、救急車が来るまでに、再度けいれんが起こり始めました。

 救急隊員に私が医師であることを話して、点滴してホリゾン注射すると、速やかにけいれんは落ち着きました。

 すごーい。私何も出来なかったと言う巫女さんを見たら後輩でした。

 こんなの当たり前だよ、なんて格好つけましたが、医師なら誰でもできるイージーな処置なのですが。

 聞けば私の大学で、巫女さんやイベントのコンパニオンするのは、コスパのいいバイトとして認知されていたのでした。

 でもそんなことは、私の大学では裕福な家庭が多いから、みんな黙ってやっていること。

 だからこんな機会がなければ知りえなかった驚きのバイトでした。

 鼻の下を伸ばして、巫女さんに見惚れているどころじゃありませんでした。隣にいた彼女には、格好よかったよとは言われず。そればかりか巫女さんにデレデレしていたねと冷たく言われてしまうのでした。

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