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■ルーティンという言葉が認識し始めたのは


ルーティンと言えば、元メジャーリーガーのイチロー選手が「毎朝カレーを食べる」や「バッターボックスでの打撃の前に入る所作」といった行為で有名になりましたね。ルーティンを行っている人はその前からもいましたが、「ルーティン」という言葉を理解している人もしていない人もいたと思います。

私は「緊張しい」ですので、知らず知らずのうちにいろいろなルーティンをしていました。例えば、おなかが痛くならないように、おなかをさする。おなかが痛くなってしまってからでは、どうしようもありませんからね。よし大丈夫だと自分の中で思えれば、お腹は痛くなりませんでした。不思議に思うかもしれませんが、そうやって問題を回避するのもルーティンだと思います。

■デフォルトモードネットワークとは


私は小児科医です。小児科医は子どもに何度も痛い思いをさせてはいけませんから処置には失敗してはなりません。採血、点滴、髄液検査、骨髄穿刺・・等々。イメージトレーニングも欠かせませんが、全ては自分次第ですね。失敗をしないイメージトレーニングをするのではなく、子どもがなるべく痛い思いをせず、一回で終わらせること。これが何よりも大事です。処置や検査の回数を減らせるのは、医師の腕の問題というところもありますので、当然ですが適当にはできません。

さて、話は変わりますが、デフォルトモードネットワーク(DMN:Default Mode Network)という言葉は知っていますか?

脳のアイドリングと言われる状態です。いいアイデアが出ないと、どんどん自分を追い詰めてしまうものです。絞り出すことで、アイデアが出ることもありますが、ほとんどの場合、あまりいいものではないことの方が多いでしょう。こういった時は、一旦アイデアを考えるのをやめて、トイレに行ってみたり、風呂に入ってみたり、煮詰まりすぎている時は散歩をしてみたりするといいアイデアが浮かぶ、というものです。

夏目漱石などは東大の池の周りをよく散歩してアイデアを生み出したそうです。今はトイレや風呂でもスマホを持って入って使う人もいるので、デフォルトモードネットワークにはなりません。気分転換にトイレや風呂に入る時は、スマホをもっていかないことをお勧めします。もちろん、散歩に出かける時もそうです。ノートと筆記具ぐらいならいいですが、手ぶらで散歩にいくことで、脳内で「記憶の整理と定着」をすることができ、新しいアイデアを思い浮かべることができるようになります。

■これが私のルーティン


私が緊張を強いられるときといえば、学会発表前や難しい処置をする前です。こういった時には、椅子に座って腕組みをして目をつぶり、大きく深呼吸を何回かします。トイレや風呂、散歩に行く時間がないからというのもあります。誰かに話しかけて雑談することで、緊張なんて何とかなるよという人もいますが、私には自分なりのルーティンの方が効果があるのです。

ルーティンを行い、脳内で「記憶の整理と定着」が行われます。自分自身に問いかけたり、言い聞かせたり、過去の体験を思い出したり。そうしているうちに、いつしか自分の中で大丈夫だと思えたとき。私はゆっくり目を開け、自分のペースで戦いに挑むのです。

目を閉じる前と、目を開けた時に見える景色は、違ったものに見えます。閉じていたのは目だけなのに、聞こえるものも変わってくるから不思議です。私のルーティンは、自己暗示に近いのかもしれませんね。

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