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初めての学校

ドイツでは僕が行ける学校として三つの選択肢があった。一つは日本人学校、もう一つはドイツの現地校、そしてインターナショナルスクールだ。違いは、日本人学校は日本語で日本の教科書を使って勉強、現地校はドイツ語で同じ地域の子ども達と、インターナショナルスクールは英語で世界中から来た子ども達と勉強する。お母さんは近所に友達がいた方が楽しいから現地校を、お父さんは英語が世界共通言語だからインターナショナルスクールを僕に勧めた。僕は現地校だと僕だけが外国人になるが、インターはみんながドイツでは外国人なので、同じような境遇でいやすいと思ったのでインターに決めた。日本人学校はせっかく外国にいるので今までと違う経験をしたかったので初めから考えていなかった。

初日、僕はお気に入りのバイエルンのユニホームを着て、スクールバスで学校に行った。
前日の夜、家で自己紹介の練習を何度もした。

”Hallo, I am Ryoji.
You can call me Rio. 
I came from Japan.
I play football and violin.”

僕はバスの中でこの文章を頭の中で繰り返した。
50分ほどかけて広い空の下、草原を抜けると森の中に学校があった。
バスを降りて、心臓をバクバクさせながら前日のオリエンテーションで教えてもらった教室に向かった。教室に入ると先生がいた。ハローと言い、空いている後ろの席に座った。生徒達が教室に入ってきた。先生はどうやら僕の紹介をしてくれたようだ。ホッとして熱くなり、上着を脱いだ。バイエルンのユニホームを着ている僕を見て、男の子達がサッカーやるの?みたいなことを聞いてきた。休み時間になりみんなが僕を校庭に連れてってくれた。訳がわからぬままサッカーが始まった。
僕がボールを持ってドリブルをし始めるとみんなは驚いた。休み時間が終わるとみんなが寄ってきて"So good so good" と言ってくれた。ドイツではサッカーが上手いとまるでヒーローだ。僕はサッカーをやっていて本当に良かったなと心から思った。

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