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Paola FonticoliのStanze(部屋)を鑑賞する

先日、Stanze("部屋"の複数形だ)という展示を鑑賞しに、行ったこともなければ耳にしたこともないギャラリーを訪れた。
展示案内の背景になっている作品が気になり、精巧だとか、感動する内容ではないことはわかっていたけれど、何しろ仕事上で精神的にやられた一週間だったので、ソフトな雰囲気の展示を見たかったのだ。

今回のアーティストはPaola Fonticoliという女性だ。
鑑賞しに行った日、ギャラリーのオーナーと、個展の説明文を書いたと思われる女性、そしてアーティスト本人が3人で入り口付近に座って語り合っていた。アートギャラリーというよりは、ヨガ教室とか、郊外にあるカルチャーセンター的な雰囲気があり、洗濯して乾いた適当な服を洗濯物干しから取って着て、鉛のように重い身体を引きずりながら会社へ行った、抜け殻のようなシマ子(それくらいこの日は精神的に参っていたのだ)でも気後れすることなく入れる空間が待っていた。こんな日だったからこそ、本当に救われた感じがしたし、やっぱり芸術鑑賞は私の日常から切り離せないものだなぁ、と実感させられた。

たまにだが、ギャラリーのオーナーが私に個人的な質問をしてくることがある。それは私がアジア人で(こちらでは日本人も台湾人も韓国人も一見すると皆中国人だと思っている節がある)、名も知られていないギャラリーに独りで現れるから、怪しい人かもとか、同業者なのか、とか、アーティストなのか、と思ってのことだろうが、「美術史を卒業したけれど、同業者ではなく、去年からブログを始めて、日本語で特にモダンアートについて緩く書いている」と説明すると皆ほっとした顔をする。
そして今回も、「ブログに書くことにしたら、あなたに写真を送るから、是非言ってね。書いたらメールして」とか、「いつこのギャラリーができて」とか色々と語られた。
決して悪い印象は受けなかったが、若い頃から私は服を買う時でも、化粧品を選ぶ時でも「放っておいてくれないかな」と思う質で、あまり深い質問をされるのが苦手だ。なのでここでも、途中から放っておいてオーラを出していたらしく、「ゆっくり自分のペースで見てね」と言われ、自由にしてもらえた🤭

ではまずは展示の説明に少し触れよう。

不安定なバランスが、鋭く、時に爽快ともいえるラインに沿って視線を誘う。コラージュと最小限の絵画的ジェスチャーが、詩情あふれる希薄な世界を構築する「Stanze」と題された紙が絶対的な主役のPaola Fonticoliの個展。リサイクルされた箱の中に作られた極小の環境、あるいは広大な表面を乱されることなく広がる白(または黒)の広い息吹は、私たちに様々な珍しい静かな幾何学模様を提供し、常に「踏み間違い」のない態勢を整え、発見されるべき場所に向かって叙情的に伸びていく。
(中略)
色彩を変えることなく、重ね合わせ、糊付けされた紙が、切り取られたものの並置、形、作家がシートの表や裏にフェルトペンでなぞったかすかな跡によって生じる知覚のズレに働きかけ、小さな浮遊感や風のような宇宙を生み出し、真の次元を認めることは難しい。

展示案内を抜粋・意訳

それでは作品へ移ろう。
1階と地下階に分かれて展示されており、サイズが様々かつ作品名が一切ないので、1階については、ブロックとして飾られていた作品をまとめて紹介したいと思う。

このアーティストは空き箱を取っておくのが趣味なのだそうだ。
左上の作品が個人的にはかなり癒される感じでツボ。
近景
何となくIKEAの布類の柄にありそうで可愛くないですか?

次に、切り絵的な作品へ移ろう。私には動物の顔やらお尻に見えてならないのだが、きっと見え方も人それぞれなのだろうと思う。

これなんて、子熊の顔かな、とか思ってしまった。
絵本に出てくる可愛いお化けっぽい。

次は茶色い紙のシリーズ、、、あまりピンとこなかったので少しだけ。

では地下へ移ろう。
地下には値段表が無造作に置かれていて、興味本位にチラ見したところ、1点につき800ユーロとかするようで、アーティストには申し訳ないけれど、「う~む、だったら自分で作るかな」と思ってしまった。

一面雪の野原に、鶴と卵がかけ合わさっている、そんなイメージで好き。

見終わった後は少し気分がすっきりし、もう1軒、ぎりぎり徒歩圏内のギャラリーを梯子したが、そちらは、学生を終えたばかりという感じの3人の若者が仕切っており、「う~む、どこをどう足掻いても記事にはできないな」という内容だったので、インスタのストーリーズでのみ作品を一つ公開しておいた。
気になる方は、シマ子のインスタのストーリーズのアーカイブをご覧いただければと思う。
そんなに数はないので、すぐ辿り着けます😊


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