『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』は何度観ても涙が止まらない

 劇場公開が2002年なので20年以上前の映画ですが、全く色褪せません。TVアニメ「クレヨンしんちゃん」の映画ですので、いつもながらの「笑い」は健在ですが、全編通して大真面目な作品です。
(あらすじはネットなどで簡単に調べる事が出来ますが、観ていない方はハンカチを片手に本編を観る事をオススメします。尚、ここから先この記事はネタバレを含みます)。

 本作品は5歳の男の子(主人公・しんのすけ)が経験する、「出会い」と「別れ」がテーマです。
 野原一家の家族愛も描かれますが、しんのすけがタイムスリップした先で出会う侍、井尻又兵衛との「歳の離れた兄弟にも似た、心の交流」が全編を貫きます。

 又兵衛は主家の廉姫(又兵衛と幼馴染み)に抱く想いがありました。同時に廉姫も又兵衛に好意を寄せていますが、身分の差がそれを許さない時代です。お互いがそれぞれに叶わぬ想いなのだと、承知しています。

 又兵衛はしんのすけ達が未来から来た者だと、出会って間もなく知ります。
 そしてその未来では戦が無く、身分の差も無い。お互いの家柄などは関係なく、自由な恋愛が当たり前の世である事も知ります。

 物語のクライマックスは又兵衛が銃弾に倒れるシーンなのですが、何度観ても私は号泣してしまいます。
 生まれた時代がそうさせたとはいえ、不器用に生きる事しか出来なかった、ひとりの男の一途な恋ごころが余りに愛おしく、心に深く突き刺さります。

 物語の中で又兵衛は青空の好きな男として描かれます。この映画を観る度に、私は空を見上げてこう呟いてしまいます。

「又兵衛さん。
 きっとこの現代に生まれ変わって
 廉姫と一緒になれたよね?」

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