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ヨガと習慣

生活や人生において「習慣」というものがいかに大切かを深く認識するようになった。

「習慣」という語は、三省堂国語辞典(第八版)には「同じことを長い間くり返しおこなってきた結果、自然にでき上がった生活上の決まり。しきたり。」と定義されている。英語で似た意味をもつ語に「practice」があるが、日本語の「習慣」よりも広がりあり、もう少し積極的に状況や環境に関与する意味を持つようだ。ジーニアス英和大辞典を要約すると「①(理論に対して)実行、実施 ②常習行為、癖、慣例、習慣、やり方 ③(反復され規則的な)練習、実習 ④<古>熟練、手腕 ⑤実務、(医者、弁護士の)業務」となっている。

両者を比較すると、日本語の「習慣」は、英語の「practice」の②と重なるだけなのだが、私は個人的に、いつの間にか③の意味を加えて認識したり、使ったりしている。誤用なのかしら? ともあれ、ここでは、日常の諸行為は、反復や練習によって新しい習慣を形成することで、更新できると捉えたい。

さて、普段は、何か特別な理由がない限り、毎日3回ヨガの練習をしており、それぞれを食事、睡眠、賃労働の間に組み込んでいる。

起床直後に寝床で行うヨガは、30分ほど。身体の神経系と骨格筋系を起動させるためのワークで、ソフトで負荷の低いものだ。

(以下は、朝のワークの手順です。思い出しながら書いてみると長くなりすぎました。ヨガに詳しくない方には負担になると思いますので、どうかスキップしてください)目覚めたら、まずは、仰臥のまま、後頭骨と頸椎上端の間の柔らかい部分にテニスボールをあてがい、2分くらい頭部の自重をかけてゆるめる。ここがゆるむと、脊柱起立筋が全体的にゆるんでくる。次は、仰臥のまま、テニスボールを仙骨(尾骨に近いエリア)にあてがい、仙腸関節をゆるめ、腸骨の両翼を左右に拡げ、腹部にスペースをつくる ーーー そのまま、両腕・両手を床沿いに頭頂方向に伸ばしながら、上腕は内転、肩は背中方向に回転、背中の筋肉群は脚の方向へ、鼠蹊部から腹部にかけての胴体の前面の筋肉群は胸の中心部へ向かわせる。その次は、アルダ・パワンムクタアサナ ーーー 膝を胸に向かわせるパタンと脇に向かわせるパタン。そして、スプタ・カポタアサナ、スプタ・ガルーダアサナ、膝を曲げたままジャタラパリヴァルタナアサナ。そして、シャラバアサナ、サーランバ・プージャンガアサナ、アルダベーカアサナ、ダヌラアサナ。それから、アドムカヴィラアサナをホームポジションにして、マールジャーラアサナ(通っているアイアンガーヨガの教室では練習しないポーズだが、肺の背中側の部分に吸気を満たすために行っている)、ウッタンプリスタアサナ(こちらも教室で練習しないポーズだが、寝床にいながら股関節にスイッチを入れるため)を行う。さらに、スワスティカアサナでパッタングリア、バラドヴァージャアサナ、スワスティカアサナの座位から上体のみパルシヴァコナアサナを行う。さらに、バッダコナアサナを経てウパヴィシュタコナアサナで手指の関節のケアを行う。その後、ダンダアサナからパスチモッタナアサナのコンケイブバック、そこからダンダアサナに戻って足首と足指の関節のケアを行う。それから、直立してタダアサナを行い、頭頂にウッドブロックを乗せてバランスをとり、頭頂から脊柱、尾骨、両踵の間を貫く正中線を確認する。その後、ウッドブロックを使ってアルダウッタナアサナに入り、肩から両腕、両手へ、頚椎から胸椎、腰椎、尾骨へ、鼠蹊部から腹部、胸部中央へ、股関節から内転筋、ふくらはぎ、アーチ形成された足裏へと力が伝わるのを確認し、ウッタナアサナへ。そのポーズのまま、壁際に寄って、アドムカヴリクシャアサナに入り、数分保持する。

朝のワークは、1日の残りを快適に過ごすのに非常に役立っている。立つ、歩く、座るといった身体動作を無理なく行うことができるし、小脳をはじめ神経系の中枢部分と身体各部の連携も程よく活性化されるから、怪我をすることも少なくなる。

さて、夕方にかけて60分から90分くらいの練習を行う。近所に見つけてある屋外のお気に入りの練習場所にヨガマットと補助道具を持ち込んで行っている(悪天候の場合は、自宅内で)。この時間帯には、直前に教室で行った練習の復習を行うことが多く、そこで扱われたテーマとピークポーズ、そして苦手だった動きを中心的に復習している。また、それとは並行して、常々参照している"Light on Yoga"(B. K. S. Iyengar著)に収録されている巻末付録「300週のアサナプログラム」の課題シークエンスを少しずつ練習している。別の投稿記事にも書いたが、屋外での練習は、自然の変化を含め環境からの刺激を楽しめるのがよい。一方、教室での練習では、自分自身に集中するので、自分の細い変化に気づけるので、それもよいものだ。

(以下は、就寝前のワークの手順です。こちらも、関心のない方は、どうかスキップしてください)
さて、夜も深まって就寝時間が近くなると、部屋を間接照明にし、YouTubeで心を落ち着かせる音源(Yoga Nidraのセッションのディレクションを収録したものや、ネコの喉のゴロゴロ音を収録したものや、ミツバチの羽音を収録したものなど)を流す。そこで、イスの座面に両手をおきながらアドムカシュヴァーサナ、イスに座ってバラドヴァージャアサナ、イスを使ったドゥイパーダ・ヴィパリタダンダアサナを行う。そのあと、壁際に横置きにしたボルスターに肩を置いて、ニーランバサルヴァンガアサナ、続いてボルスターに骨盤後部をのせてヴィパリタカラニ、そして最後にシャヴァアサナ。それから、その流れで睡眠に入る。ニーランバサルヴァンガアサナとヴィパリタカラニは、折りたたんだ布団などで基台を作ってサーランバサルヴァンガアサナとハラアサナにすることもある。

夜のワークを行うことの恩恵は大きい。身体を調整してから寝床に入るので睡眠中の体位が安定し、また、副交感神経が優位になるので睡眠も深くなる。また、就寝前のワークを成功させるために、夕食時間は早めになり、栄養価が高く消化のよいものを適量だけ摂るようになった。お酒も全く飲まなくなった。はじめた当初は、少し物足りない気もしたが、生活に軸ができて幸福度も上がり、今では全面的に満足している。

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