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【ショートショート】メリーゴーラウンドみたいなレストランで


ガッタン ゴットン、ガッタン ゴットン

、、、んん、、、ここはどこだ?

、、、あれ?何で、オレはこんなとこにいるんだ?

それより、何か地面が揺れてるな。。。

、、、まあ、そんなことより、何をしてたんだっけ?
思い出そう。。。

、、、そうそう、あの大金貯め込んだ1人暮らしの爺さんの家に、夜な夜な忍び込んだんだ。

もし爺さんが起き出したら、もろとも殺っちまおうと思って、刃物片手に、、、あれ?あのナイフ、どこ行った?

まあ、そんなことどうでもいいや。

、、、そして、タンス預金をありったけバッグに詰め込んで、ずらかった、、、

、、、あーわかった、これ何かの乗り物だ。
オレはあのままずらかって、バスか何かに乗ったんだっけ?

それにしても、がかかってんのか?
周りがよく見えねーな。。。

どこに向かってるんだろう。。。

あれ?記憶が少しおかしいな。
あー、そうそう、ずらかろうと思ったところ、あの爺さんが起きて来たんだ。

物音がしたからパッと振り返ったら、夜な夜な爺さんが「ヌゥ~ッ」っと暗がりに立ってるもんだから、さすがのオレもギョッとしちまったぜ。。。

「暗闇と一体化する老爺」

おっ、何かちょうど10文字で、そして怖そうだな。
だから何だってことないけど、何か、、、こういうの、、、ありそうだな。。。

、、、いや違う、、、これ乗り物っていうか、地面が動いてんのか?

あっ、ちょっと霧が晴れてきた。
それにしても、、、何かいい景色だな。
見たことないような眺めだ。。。

これ、バスっていうか、、、何か遊園地にあるコーヒーカップみたいだな。

まあ、そんなことどうでもいいや。

、、、そんで、爺さんがどうしたんだっけ?
そうそう、化けもんでも見るような驚いた顔で、オレのことじっと見てたな。

そして、オレは爺さんに近付いて、、、

、、、ん?
周りにもいっぱいコーヒーカップが並んでるじゃねえか。。。
そして、、、1人ずつ誰か乗ってるな。。。

オレらはコーヒーカップに乗せられて、いったいどこに向かってるんだっけ?

まあ、そんなことどうでもいいや。

それにしても、いい景色だ。

ん?あれ何だ?か。。。

何かずいぶん、、、濁ってるのか?
いや、濁ってるどころじゃねえな。
、、、真っ黒だな。

ずいぶん距離があるけど、何か、、、少し匂ってくるぞ。。。
何で、こんな景色のいい場所に、あんなきたねー川があるんだ。

まあ、そんなことどうでもいいや。

それより、オレは爺さんに近付いて、、、ナイフを取り出したんだっけ?

ん?何か、さっきより、周りのコーヒーカップが減ってるような気がするぞ。。。気のせいか?

おっ、何か草むらみたいなところに辿り着いたな。。。
すげーな、、、一面、だ。

ここで止まるのか、、、そうでもなさそうだな。

まあ、そんなことどうでもいいや。

さて、爺さん殺っちまおうと思って、近付いたら、、、
そうだ! あれビックリしたな。爺さんの方も刃物持ってやがったんだ。

、、、いや違う!
これはどこかに向かってるんじゃないぞ。

オレらはコーヒーカップに乗って、ゆっくりとだが、グルグル回ってる気がするな?

いや、何かこんなの前にあったんだよ。うっすらと覚えてるぞ。

ん?何か、さっきより、周りのコーヒーカップが減ってるような気がするぞ。。。

まあ、そんなことどうでもいいや。

思い出した!


あの爺さん、、、持ってた包丁で、いきなりオレのことブスッ!とやりやがったんだ。

あれは、オレとしたことが不覚だったな。
年寄りだと思って油断したぜ。

あの爺さん、力も強かったな。
総合格闘技でもやってたのか?それとも元軍人か何かか?

盲目の元軍人の家に忍び込んで、怖い目にあわされるっていう映画あったな。

そうだ。
何かと思ったら、何かここ、回転レストランみたいだ。

子どもの頃、離婚した両親に捨てられる前に、母ちゃんに1回連れてってもらったことがある。

ホテルの屋上とか景色のいいところにあって、360度見れるように、レストラン全体がゆっくりと回るやつだ。

1時間とかすると、元の場所に戻って来るんだっけな。

乗り物の上だし、何かメリーゴーラウンドみたいな、おもしれーレストランみたいだな。

おっ、あれは何だ?
草むらに、、、白い花か?

何かいっぱい咲いてるな。
それにしても、デカい花びらだ。



いや、ホントにいい景色で、うっとりして少しクラクラしてきたな。

そうだ!クラクラして、その場にぶっ倒れたんだっけ?

そうか。
あのままオレもあの世に来たということか。。。

でも、このいい景色。。。
うっとりする雰囲気。。。
どうやら、、、天国らしいな。

オレのことだから、てっきり地獄で鬼どもに虐められるんじゃねーかと思ってたが、悪運に助けられたか(まあ、殺られちまったから、運があるのかどうかもよくわからんが)。

やっぱりそうだろうよ。
生きてたときは、散々悪いことしてきたが、あの世ぐらいは美味しい思いさせてもらわねえと、割に合わねーぜ。

ん?何か、さっきより、周りのコーヒーカップが減ってるような気がするぞ。。。

まあ、そんなことどうでもいいや。

いい景色を思う存分堪能した後は、いったいどこに連れてってくれるんだろうな?

あれ? オレらが乗ってるのって、、、これ、、、コーヒーカップじゃなくて、、、みてーな形だな。

皿に乗った何かが回るレストランみたいな場所って、何かなかったか?

まあ、そんなことどうでもいいや。

天国じゃ、億万長者にしてもらいてーもんだ。
ん?そもそも天国で金って必要なのか?

あれ? あの黒い川って、、、濁った水じゃなくて、、、醤油みてーな匂いがするな。

醤油の横で何かが回るレストランみたいな場所って、何かなかったか?

まあ、そんなことどうでもいいや。

天国じゃ、乙姫様にでも接待してもらいてーもんだ。
ん? あれは竜宮城だったか。。。

あれ? あの一帯の緑って、、、草むらじゃなくて、、、ワサビみてーな匂いがするな。

ワサビの横で、何かが回るレストランみたいな場所って、何かなかったか?

まあ、そんなことどうでもいいや。

天国じゃ、、、あれ? あのデカい白い花びらって、、、何か、、、ガリみてーにも見えるな。

ガリの横で、何かが回るレストランみたいな場所って、何かなかったか?

まあ、そんなことどうでもいいや。

ちょっと、お茶でも飲みたいな。。。

(完)


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