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R & B 聴かない?

私は以前、映画『BLUE GIANT』に関する記事を書いた。

同記事の最後で、映画の中のキャラクターの台詞に触れ、「みな、ジャズという音楽を聴かなくなってきていることを再認識した」と締め括った。

私は大昔、少しの間だが、ビッグジャズバンドに所属し、テナーサックスを吹いていたということも上の記事に書いた。

だが、私がテナーサックスを始めたそもそもの理由は、ジャズに憧れてというものではなく、小学校2年生のときに、映画『ブルースブラザーズ』と出会い、眉間を撃ち抜かれたようなショックを受けのがきっかけである。

自分の過去記事ばかり振り返るが、別に終活をしているわけではない。

上の記事では、私が『ブルースブラザーズ』をきっかけに、コツコツとなけなしの小遣いを貯め、子供の頃にテナーサックスを買ったことを書いた。

同映画に使われるようなジャンルの音楽を聴き漁るうち、最終的にいくつかある楽器のうち、テナーサックスに心惹かれるようになったわけである。

皆が皆とは言わないが、テナーサックスあたりの管楽器をやっていると、サックスのソロの音を追っかけやすい「ジャズ」という音楽に親しむようになるのも自然な流れだと思う。

私もその流れに乗った。

そして、同音楽の醍醐味でもあるアドリブという緊迫感の中での掛け合いに、段々と魅せられるようになるのも自然な流れであると思う。

私もその流れに乗った。

従って、私はある日突然、ジャズを好きになったというよりも、R&B (Rhythm and Blues)の影響を受けてテナーサックスに魅力を感じ、その後、楽器を通じてジャズに至ったわけである。

その意味では、ジャズを聴くようになったルーツが「R&B」であるとも言える。

私の好きな音楽のジャンルであるジャズ然り、ブルース然りであるが、聴く人が減ったというより、そもそも私はそれらの音楽が全盛を誇っていた時代を生きていない。

それにしても、ジャズは何となく聴く者を選び、ブルースは「古き良き」音楽になりつつあるのだろうか。


私は上で「ブルース」と「R&B」を(いつものように)互換性のある言葉のように使ってしまったが、音楽の歴史に詳しい方々からお叱りを受けるかもしれない。

大雑把にでも、異国の地での悲哀を歌うアフリカ系アメリカ人によって、すでに19世紀に確立された「ブルース」と、その影響を受けて1950年代に確立されたリズム重視の「R&B」、、、みたいに分けて扱うべきなのだろうか。

私は「ブルース」の哀愁漂う感じや世界観が好きである一方、幼少から慣れ親しんだのは強烈なビートに乗って『ブルースブラザーズ』が歌う「R&B」であり、グルグルと回った挙句、感覚的には、それらをまるで同じ弁当箱の中に入った音楽のように捉えてしまっている。

言葉が多くなってきたが、別に普段はいちいち「ブルースとは何ぞや?」、「R&Bとは何ぞや?」、「R&Bが、ブルース以外で影響を受けた音楽とは?」、「じゃあ、ソウルとR&Bの違いは?」などと、小難しいことを考えて音楽を聴いてはいない。

ただ揺れたいのである。

唐突であるが、『ブルースブラザーズ』のOfficialの音源がyoutubeにアップされている。

『ブルースブラザーズ』の「顔」と言うべき曲は、やっぱりこのテーマ曲だと思う。

私は、この曲がかかれば、どんなにブルーな気持ちであっても、体は自然と揺らされてしまうように思う。

逆に揺らされない人がいれば不思議だ。
どんなに我慢しても「1:18」あたりで必ず揺れが訪れると思う。

私なんか、曲が始まる1秒前からフライング気味に揺れ始めている。

R&B好きにとっては、言わずと知れたオーティス・レディング(Otis Redding)"I Can't Turn You Loose"のアレンジである。

以前、LAに住んでいたとき「グラミー・ミュージアム」(The Grammy Museum)に行った。

そのとき、何とも光栄なことにオーティス・レディングのコレクションをやっており、 "I Can't Turn You Loose"がエンドレスでフロアに流れていた。

アレサのRESPECTも、どっちも好き

オーティス・レディング"I Can't Turn You Loose".

アレサ・フランクリン"I Can't Turn You Loose"も負けず劣らず、ソウルフルでパワフルで好きだ。

ライブを含む『ブルース・ブラザーズ』の音楽という括りではなく、あくまで映画『ブルース・ブラザーズ』の中の「顔」という意味では、ここらへんも大いに体が揺れるであろう。

"Everybody Needs Somebody"

ところで、1989年に「ブルース・ブラザーズ・バンド」がすでに来日し、ライブを行ったのをご存じだろうか?

ジョン・ベルーシはとうの昔に死んじゃっているので、エルウッドもなしで(要するに、映画の黒ずくめの2人組は抜きで)、あくまで「バンド」が来日し、渋谷公会堂でライブを行ったのだ。

私は当時、まだ小学生であったが、ビデオ録画し、それこそ擦り切れるほど観た。

先ほどの"I Can't Turn You Loose"で登場した後、"Peter Gunn""Soul Finger"を立て続けにかますのだ。

Peter Gunnでは、ホーンセクションが全員順番にソロを回す(tb, tp, saxの順)。

憧れの「“ブルー・ルー” マリーニ」のソロなんて、歌えるほど聴き込んだ。

3曲目からはボーカルとして"Larry Thurston"が加わり、途中で"Eddie Floyd"にバトンタッチする。

当然、2人とも歌はジェイク・ブルースの100倍上手いwが、それでも今さらながら、ジェイクの早過ぎる「死」を悔やみ、もはやステージ上での兄弟を観ることのできないもどかしさに苛まれた子供の頃の私であった。

同ライブでも"SOUL MAN""Hey Bartender"などのお馴染みのナンバーに体を終始揺らされっ放しである。

かと思えば、"Thrill is Gone"のラストでの"Larry Thurston"と「マット・ギター」オヤジの静かに熱い掛け合いで、この曲は「B. B. キング」だけのものじゃないんだ、なんて思ったりもした。

渋谷ライブでの上の2曲も貼りたいが、Officialの動画がなさそうなのでやめておく。

代わりにOfficialの方から"Soul Finger"だけ貼っておく。

いつ聴いても、ベースラインが最高にカッコいい。

そして、いつ聴いてもイントロが「メリーさんのひ・つ・じっ!」である。

このライブでは、「0:56」あたりから始まる(テーマに戻る直前の)ラインをベースとギターの2本で重ねているが(キーボードも重なっている?)、89年の渋谷ライブでは、ほかの楽器がピタっ!と止まって、ドナルド・ダック・ダンのベース1本でこのラインが走るのが、最高に渋くてカッコいい。

まあ、カッコいい曲を言い始めたら、すべての動画を貼らざるを得ないので、いったん小休止する。


ドナルド・ダック・ダンが
たまにベースにパイプ挟むのもカッコいい

それにしても、『ブルース・ブラザーズ』のロケ地でもあるシカゴに住むと決まったときは、とにかく嬉しかった。

ダウンタウンの高架下を歩くと、まさにカーチェイスのシーンなんか思い出したものだ。

そして、シカゴに来たからには、やはり本場のブルースを聴きたくなった。

現地に、ブルース・シンガー(兼ギタリスト)バディ・ガイ(Buddy Guy)が創業したその名も「Buddy Guy's Legends」というブルースバーがある。

ここに行きたいと思ったのだが、実は、、、この店、結構危ない(治安が悪い)とされるエリアの端っこにあった。

何か怖くて、車で乗り付けて、お店近くの駐車場に止めるという勇気もなく、地下鉄を利用することとした。

シカゴに住んでいた当時、郊外の行き来は基本的に車で移動することが多かったのだが、郊外からダウンタウンに行くときは「METRA」という比較的上品な列車(切符も少し高い)を利用していた。

しかし、ダウンタウンから上記の「Buddy Guy's Legends」に行くには、よりローカルな地下鉄に乗る必要があった。

この地下鉄、「ブルー」とか「パープル」とか「レッド」とか、ラインが色分けされていたのだが、あまり治安が良くないということで、殆ど乗ったことがない。

中でも、「レッドラインはやばい」みたいなことを仕事の仲間たちからも散々聞かされていたので、チキンな私は、この赤信号を連想させる地下鉄には近寄りもしなかった。

、、、しかしながら、「Buddy Guy's Legends」がこのレッドラインでしかアクセスし辛い場所にあったのである。

周りの仕事仲間に散々相談し、「まあ、そんなに暗くならない内に引き返してくれば大丈夫ないか」みたいな言葉を心の支えにして、何とか行く決意をした。

レッドラインで治安の悪いエリアにグングンと入って行くという話であれば、考え直していたかもしれないが、「危険エリア」の端あたりというのも決め手になった。

せっかく勇気を振り絞って行ってきたので、お店の写真も少し共有する。

ショートだが、お店のライブはこんな感じ。

長居したかったのだが「そんなに暗くならないうちに、、、」という仕事仲間のアドバイスを思い出し、19時台だったかのめちゃめちゃ早い時間に切り上げたように記憶している。

それにしても、シカゴのブルースバー体験ができたので良しとしよう。

帰り際に、お店のマネージャーだか用心棒だか、見分けが付かないようなゴッツイ黒人のおっちゃんに「兄ちゃん、来てくれてありがとよ!(Thank you for coming, man !)」みたいな感じで、フレンドリーに肩パンされた。


[おまけ]

ショートだが、シカゴのダウンタウンでは、たまにこのような路上ライブも行われている。


路上のサックス奏者としては、サンディエゴでなかなか「いい音」出されている方がいた。

まあ、グダグダと書いたが、、、やっぱり、ここらへんの音楽って、流行らないのかねぇ。。。

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