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神社と彼岸桜と芥川(生と死)



神社には静謐な空気が流れる

侵しがたい存在

古(いにしえ)の人の祈り

生けるものと死せるもの

たくさんの尊い霊性に触れる



神社の一角に立てかけられた掲示板に

自死した作家の言葉を見る

日の光に照らされた眩いばかりの

ポジティブで真っ当な言葉


『日常の瑣事(さじ)を愛さなければならぬ』

*瑣事=取るに足らないつまらないこと


芥川がそれを綴った時は

人々のために書いたのだと思うけれど

実は無意識のうちに、自分を励ますために書いていたのかも…。

などと大作家に不遜な思いを投げかけてみる。


『ぼんやりとした不安』





『逆光の桜』

そんな言葉が頭に浮かぶ

人生に対峙できるほどの気力がなくなって

後ろ向きであっても

その生き様のそれぞれの姿は

(肯定的なものであろうとなかろうと)人の心を動かす

それを眺めながら

自分の生き方や死に方を考える



『或旧友へ送る手記』芥川龍之介




『或旧友へ送る手記』芥川龍之介


彼岸桜は、此岸と彼岸の橋を渡してくれる。どちらにいる人も皆、人の苦難と幸福の洗礼を浴びた尊い魂だと思う。

誰もいない境内で、その魂に手を合わせ、端正な鳥居に向かって、頭を下げた。



<こちらの記事を読んで、書いたエッセイです>📝


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