塔2月号 若葉集掲載歌
選歌を受けていつも思うのは、送った十首の枝葉を剪定して、すっきりとまとめてくださったなぁ、ということ。
前前号は娘のしでかした恋の逃避行だったし、一月号は犬と鹿と秋という、私にとっては散歩の歌たちだった。
そして今回は母と子の歌。
母の存在は、今でも私の中で、どう位置させるのかがわからない。わからないからこそ、ときどきに揺れ、感情を揺さぶってくる。
母は、私が21の時に脳卒中で倒れ、全てを忘れた。
徐々に家族を思い出したが、私は一番最後で、長いこと叔母の名前で呼ばれていた。
そして、24年前に、私の第一子を抱くこともなく旅立ってしまった。
誰のことも、その人の前では褒めない人だった。甘やかすと碌でもない人間に育つと信じているような。
私は褒められたくていろいろ頑張って、褒めてもらえないことに、繰り返し傷ついてきた。
私は、まだ母の愛を乞うているのだろう。もう亡くなって四半世紀になるというのに。
我ながら、やれやれ、という気持ちになる。
手製の味噌は虚構。母は白菜の漬物は毎年たっぷり漬けたけど、味噌は作らなかった。味噌作りに夢中になっているのは、私の方なのです。
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