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育成スポーツをより良く。

1.育成の価値

サッカースクールのコーチをしていた時に
「教え子からプロが出たら嬉しいな」って考えがありました。

教育を目的としたスクールでしたが、
指導者としてやっぱりどうしても、プロを輩出したいという思いはありました。

そして「どうすればプロが生まれるのかな」と考えながら指導をしていると、1か月くらいして「この考えはやめた方がいいな」って思うようになりました。

幼児から小学生までを指導していましたが、そんな小さな教え子たちに、今からあの厳しい競争を勝ち抜かせようとさせることがナンセンスだと感じました。

というよりも、上手くさせようと、上手くなるのが楽しいと思わせようとすればするほど、サッカーを心から好きじゃないと続かないことに気づきました。

プロになるよりも、一人の人間として幸せになってもらえれば、育成コーチとしてこれ以上の幸せはない、と自然と考えが変わりました。

育成世代は、人間にとってとても重要な成長時期です。
その時期の経験が、大人になった時の生き方を左右するといっても過言じゃないはずです。

そんな育成の最も大切な役割は、
「遊び」
だと思います。
「遊び」に価値が凝縮されていると思っています。

日本は裕福で、娯楽に囲まれていて、安全に気遣いされていて、
体を動かして遊ぶ必要性が感じられなくなっていませんか。
または、体を動かした方が良いからといって「やらせて」いませんか。

これからの日本のスポーツ育成指導は、
子ども達を夢中に遊ばせることに大きな価値が生まれると考えています。

そうすることで、教えなくても子ども達は学んでいく、最高の教育ともなると考えています。


2.育成のスポンサー・マネタイズ

プロのサッカークラブは広告の価値があるけれど、育成クラブとなるとそれは難しいです。
また育成クラブや部活は、教育色が強いこともあり、お金の話からは離れている気がします。指導者のやりがいに頼るサービスも多い印象です。

スポーツの育成において、スポンサーを獲得したり、注目を集めてマネタイズしたり、月謝の他にお金を集めることがとても難しいのが現状だと思います。

育成でお金を集めることが必要なのか、を考えると、やっぱり必要だと思います。

月謝を少しでも安くするために、
クラブが持続可能であるために、
スポーツ環境を無くさないために、
指導者の生活を保障し、長く居てもらうために、
教育ではなく娯楽として社会的意義を持つために、
少子化の日本で子ども達により良い環境でスポーツができるように、

必要な動きだと考えます。

例えば、
◆防犯グッズを扱う企業と提携したら、宣伝替わりに子ども達にグッズを持たせれば、身の安全も守れてWINWINではないか。
◆塾と提携したら、文武両道を謳うことができて、互いにイメージアップと宣伝になるのではないか。
もちろん、素人のアイデアなんで、これが出来ていたら苦労しない、って事情があると思いますが…

育成の価値の理解が広まることで、企業はCSRの目的だけでなく、
純粋に応援したい、力になりたいという気持ちでスポンサーになっていだけるのが理想だと思いますが、
双方に有益な関係でないと人が変わったら持続しないので、WINWINを探し続けたいし、魅力を伝えられる指導者であり続けたいです。

やっぱり、現場の指導者が、大切なんだと考えています。


3.サッカーは「趣味」

欧州と日本のスポーツの現場で注目したい相違点は、
”自らやっている” と ”他人からやらされている” 
という子ども達のマインドの違いについてです。

日本の子ども達が全てやらされているわけじゃないですよ勿論。

ただ、欧州の現場の話を聞くと、自由度が違うな、と感じることが多いです。
それは、やる人はやるし、やらない人はやらないで良しとする欧州と、
徹底的にやらされることがある日本。

スポーツが好きだから、趣味だから、自ら取り組んでいるスタンス。
スポーツは皆がやっているから、教育の一環だから、受動的に取り組んでいるスタンス。

そもそも、受動的なスタイルの日本人は、その傾向が強いので、
スポーツでも自らを表現することが苦手なのかもしれないです。

サッカーは、自己表現が特徴のスポーツでもあります。

自分の役割を主張し、居場所を作ることができます。
少しずつ上手くなっていくと役割を見つけて主張ができるようになり、チームの一員だと感じることができ、楽しさも充実さも感じます。

教育要素が強いと、サッカーの良さを一つ無くしてしまう気がします。
自分でこうしたい、を叶えるために努力する。
自分を表現することの楽しさを覚える。
そして趣味だから、自分のペースで良い。

それで良いと思うんです。

だから、応援したくなるんだ、とも思います。
逆説的に言えば、やらされていると思うことが減れば、応援される。
スポーツは、サッカーは、究極の趣味でいることが良いと思います。

(やらされていることでも、やらなきゃいけないことだと本人が理解していれば良いとは思いますが、理解していなければそれは教育でもないと思います。)


4.指導者の使命

子どもの為に、自分の為に、
指導者は育成スポーツの価値を伝えていかなければと思います。

それは、
子ども達が実に子どもらしく、夢中に遊ぶ経験が重要だと伝えること。
そのために、
応援される人であり続けること、
自分が一番スポーツを楽しみ続けること、
周りを巻き込むアイデアを出し続けること、

自分の特徴を生かして、これから関わるどんな子ども達でも、その人生を少しでも幸せにしてあげられるよう、工夫すること。

社会のためにも、これからのスポーツのためにも、
育成にお金が動くよう、魅力を伝え続けるべきです。

教育ではなく、娯楽でありエンタメなんです。
でも教育の中の、人格形成には大きく関わることでもあるんです。

日本は、Twitterを見ていても、
努力家な人や優秀な人がたくさんいらっしゃいます。
育成スポーツ界をより価値のあるものにできると思っています。

僕は見識が浅く、深いことは語れないですが、
薄情な人は少ないと思うし、コーチたちも想いが強いし、上手い選手は本当に多くなっていると思うし、日本の育成の現場は凄いと思っています。

だからこそ、
指導者達は歴史に敬意を持って尊敬し合い、
子どもを預かる責任と笑顔を引き出す義務を果たし、
厳しさと愛情を持って接していく使命があります。

心を込めた指導で
「仲間ともっとボールを蹴っていたい」
と思わせる使命があります。

ポジティブな雰囲気を作り
「なんて楽しい時間なんだ」
と思わせる使命があります。

人生に希望が持てるコミュニティであり続け
「ここなら安心できる」
と子ども達にどんどん挑戦させる使命があります。


育成はすぐに目に見える結果が出ないことが多いです。
また結果が見えづらいことばかりです。
指導を受けてなかったら今頃…なんて分かりません。

正しい評価をされないことが多いかもしれないけど、
それでもよっぽど酷い指導者でなければ、悪いことなんてないと思っています。


これからも、育成スポーツがより良くなることを信じて、学び続けます。



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