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絵本と音楽と映画のプレイリスト 01:野球

音楽/

電気グルーヴ - HOMEBASE

坂上二郎とユニコーン - デーゲーム
https://www.youtube.com/watch?v=B8N1XUW1C4M

SEVENTEEN - HOME;RUN
https://www.youtube.com/watch?v=UB4FzllQCyc

父親の影響で、幼い頃から野球に興味があった。地元の球場で行われるプロ野球の試合や冬季キャンプによく連れて行ってもらった。グローブは持っていて、町内の小学生が入れるソフトボール部にも1年だけ加入していた。運動神経が壊滅的に足りなかったので野球選手を目指すようなことはなかったし、父親からもそこまでは求められてはいなかった。

児童向けの野球のルールブックを買ってもらったのをきっかけに、野球の試合経過を記録するスコアを付けるのに凝っていた時期もあった。「将来の夢は野球のスコアラー」と、小学校の卒業文集にはたしか書いてある。

その後、地元ではサッカーが優勢になり、野球の存在は世間的にも隅の方に追いやられてしまった感があった。あと数年遅く生まれていたら、サッカーに夢中になっていただろうか? 走ることが大の苦手なので、きっとそうはならなかったと思う。

野球がテーマの絵本には、地元や町、身近な大人が登場することが多い(逆にサッカーの絵本には、翻訳物が多いことも理由のひとつだと思うが、ローカルを飛び越えて「世界」への憧れが感じられる)。父親が野球を教えてくれたように、絵本を通して大人から子どもへ伝わっていくこと(伝えたいこと)も、今回読んだ絵本の中にはたくさんあった気がする。結果や勝ち負けよりも大切な、自分の中で頑張ることや、心から楽しむことを。


絵本/

海をかっとばせ

山下明生/作 杉浦範茂/絵
偕成社 (2000) 小学校低学年から

海をかっとばせ 山下明生/作 杉浦範茂/絵

ピンチヒッターでもいいから次の大会に出たい!── 野球少年のワタルは、野球チームでの試合出場を目指して、海辺でのひみつの特訓を開始した。早朝の海岸で素振りを繰り返すワタルの前に、突然男の子が現れる。波の向こうから次々と投げ込まれる「ボール」を必死で打ち返すうち、ワタルは不思議な世界へと飲み込まれていく──。

絵本・児童書のデザインを多く手がけ、数々の賞も受賞するグラフィックデザイナーの杉浦範茂がグラフィカルかつカラフルに描く、朝日に照らされて輝く海と波の描写が美しい。

──海をかっとばせ|偕成社


ホームランを打ったことのない君に

長谷川集平/作
理論社 (2006) 小学校低学年から

ホームランを打ったことのない君に 長谷川集平/作

少年野球チーム・西坂トゥエニシックスのさえないメンバー、ルイと、野球に詳しく、かつて高校野球のレギュラーだった近所の兄ちゃん、仙ちゃん。それぞれの野球をめぐる心の動きを、静かに温かく子どもを見守るような大人の目線で描いた絵本。

登場人物の視点と心情が、ページごとに映像的な手法で切り替わっていく。その編集とレイアウト感覚が新鮮。お話も、一行の中にも行間にも、その繰り返しの中にも、豊かな感情と余韻が込められている。このままドラマ化されても不思議ではない物語が、絵本というフォーマットを生かしながら表現されている。

──ホームランを打ったことのない君に|理論社


ぼくらはうまいもんフライヤーズ

岡田よしたか/作・絵
ブロンズ新社 (2016)

ぼくらはうまいもんフライヤーズ 岡田よしたか/作・絵

エビフライ、アジフライ、オニオンリング、フライドチキン etc.……近所の空き地に集まった「フライ」たちが結成する野球チーム「うまいもんフライヤーズ」。その驚きの加入条件とは……??? リアルに描かれたフライたちの笑える練習風景と関西弁での“ぼやき”に、ほっこりとさせられる。

──ぼくらはうまいもんフライヤーズ|ブロンズ新社


野球場の一日

いわた慎二郎/作・絵
講談社 (2011) 5歳から

野球場の一日 いわた慎二郎/作・絵

横浜(現・横浜DeNA)ベイスターズの取材協力により、横浜スタジアムでの試合が行われる一日を、時間ごとに緻密なイラストで解説した図鑑的絵本。観客の一人ひとりや看板・横断幕まで細かく表現されていて、野球観戦をきっかけに野球に興味を持った子どもたちには、きっと楽しいはず。

……これ、アイドルコンサート編もあったら面白いと思いました。

──野球場の一日|講談社


あすは きっと

ドリス・シュワーリン/作 カレン・ガンダーシーマー/絵
木島始/訳
童話館出版 (1997) およそ5歳から

あすは きっと ドリス・シュワーリン/作 カレン・ガンダーシーマー/絵 木島始/訳

野球が題材の絵本ではないが、今年(2022年)の夏の甲子園で東北勢として初めて優勝した仙台育英高校野球部の監督が、「選手たちに読み聞かせている絵本」として話題になった。

手にとって読んでみると、これは明らかに、なかなか寝ようとしない2〜3才から5才くらいの子どもたちに、おやすみ前の寝かしつけ用に読んであげるタイプの絵本ではないか。明日はきっとこんなに楽しいことがたくさんあるよ、もしかするときょう積んだよりもっと高い積み木の塔を積めるかもしれない、あたらしいともだちにあえるかもしれない……だから、きょうはもうベッドに入って「おやすみ」。明日起こるたくさんのいいことを最後まで読み終わる前に、子どもたちはすやすやと眠りにおちていく──。

これを、野球に日々打ち込む選手たちに読み聞かせようと考えた監督の発想が素晴らしい。野球に打ち込むことが、厳しい実践ばかりでなく選手たちにとっての憩いの場にもなる、というかけがえのない体験を、読み聞かせの時間が与えてくれるのだ。そして、それが甲子園での優勝を成し遂げた選手たちの心の滋養につながったとしたら、本当に素敵なことだと思う。

──あすは きっと|童話館出版

──仙台育英“優勝”したら絵本が話題に 高校野球と絵本?その関係は?|TBS NEWS DIG


映画/

野球少女
チェ・ユンテ/監督 (2020、韓国)


「天才野球少女」と称えられたスインが、高校卒業を機にプロ野球選手を目指すが、「女子」という壁がその行く手を阻む。母や野球部の監督・コーチからも散々無理だと否定されながらも、逆境の中で決して夢を諦めようとせず、連日過酷な練習に打ち込む。

主役は、Netflixのドラマ「梨泰院クラス」でトランスジェンダーのヒョニを好演したイ・ジュヨン。ここでの「野球」は、父から子へ、といった甘い記憶とは真逆の、野球がまさに男から男へと伝えられてきた歴史ゆえに作られた「高い壁」として、彼女の前に立ちはだかる。スインは、自分にしかできない武器を磨き、女として、人として、強い意志でこの状況に立ち向かってゆく。

──映画『野球少女』公式サイト


➡ 絵本と音楽と映画のプレイリスト について

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