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見た目至上主義を表す‘ルッキズム’が巷で喧伝されて、その考えの是非も含めて言葉の認知は常識に近いと思われます。
くだいて言えば、見た目による寛容度合‘イケメン無罪’なる人の感性を揺るがす、全世界的な一種の信仰に近い概念なのではないかと感じます。

様々な媒体で商品として有効な‘ルッキズム’に於いて、警鐘として私が前述した根拠は、犯罪や犯罪性の強いと見られる事象が俎上に置かれても日常に照らしてスルーできる程に慣れてしまっているのは、もはや取り返しがつかない次元に在るのだなと諦観するより他ならないからです。

死人に口無しと言える故ジャニー喜多川氏の問題。
日本の文化そのものに貢献してきたと言って過言ではないでしょう。氏が興したジャニーズ事務所こと現ジャニーズ・エンターテインメント。
全ての媒体はもとよりオリンピックから皇室行事までハイトレンド・ハイクオリティを有するタレント育成と斡旋で、国内はもとより東アジア、東南アジアでも絶大な人気を誇る所属タレントが数多在籍しています。

先頃イギリスBBCのドキュメンタリー番組が契機となって再びスポットが照らされたジャニー喜多川氏の少年性愛。その取り引きで仕事が充てがわれる仕組みをかつて所属していたタレントたちの証言が明るみになるにつれ、然もありなんの様相を呈しています。
芸能史に詳しい人ならば、過去の事案から今回挙げられたジャニー氏の性癖からの云々は想像の範疇でしょう。
大手マスコミが大々的に取り上げない以上、この問題は既にジャニー氏が故人である為検証の仕様がなく、忘れ去られる報道の一つとなる運命にあります。

これこそアメリカとの大きな違いを私は思います。例えばマイケル・ジャクソンの少年愛問題。様々な憶測、裁判事案になり判決も出ましたがマイケルの口から絶対的な言葉は発せられず、まさに憶測と衆人環視の断罪から、マイケルは寿命を縮めてしまったと感じます。
アメリカは稀代のスーパースターでさえも才能を生かす選択でなく、実際はともかく倫理観を優先させる国民性なのだと認識したのです。

寝ても覚めても、テレビを点けるやメディアを覗くとジャニーズ所属タレントを見ない日は無いほど、日本は彼らの存在無しには成立できないのかと錯覚させられます。
この状況と類似している感覚があります。ペットショップ業界です。ペットショップで高額の動物を購入するユーザー感覚とジャニーズタレントに惹かれるユーザー感覚は何処かルッキズムに於いて共通しているのではとの見方です。
余談ですが日本で殺処分される犬猫は一昨年度統計で約15,000頭とされています。環境省のサイトから閲覧できます。
こうした現況の問題意識からペットショップのあり方を考えるに、全てが悪徳業者とは思いません。ただ勿論高額取り引きには血統書や病気無し等、利点も有るとは思われますが、ユーザーの立場としてまずは倫理観を優先して殺処分されかねない公的機関を訪ねてみて里親になることから考えてみる方法もあると思う次第です。

美少年と愛玩動物をビジネスモードで安易に感覚で魅せられるこのスキームについて、このまま放置している日本的な、所謂島国の慣習といって可怪しくない状態を俯瞰してみた時、もう少し賢くなって良いのではないかと思ってしまいます。
‘ルッキズム’に騙される自由もあるので、強制されるものではありませんが、ある種の倫理観をはたらかせることは大切で、歪な構図から早く脱却できる為の、ものごとの本質の理解に繋がるものだと考えます。

見た目から夢を与える側と与えられる側…誰しも夢の住人でいたいのかもしれません。

【私のオススメの一冊】

『生物と無生物のあいだ』
福岡伸一(講談社現代新書)

最近は多くの執筆活動でメディアでも知られている福岡伸一氏の代表作。
分子生物学のオーソリティとして名高い福岡氏が2007年に著書として発刊。
個人的見解でほぼほぼ不毛の時期とも言えた2020年1月から端を発した新型コロナ時代当初から遡ること13年も前にこのタイトルが示す通り、本書ではウイルスとは何かを分かりやすく構造的に多角見地から解きほぐしています。
当時読んでおくべきだったと後悔の一冊。



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