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睡眠時、私は夢を良く見る方だと思います。夢の風景は此処は何処なのかという具合に、これまでのリアルな人生の中で過ごしたことのあるような…曖昧な場所が時間軸関係なく合わさって登場します。
そして登場人物も知り合い同士でない筈の思い出深い人たちが既に知り合いだったり、そこに面識の無いテレビや映画で知られた有名人が加わることもあり、まさにカオスなストーリーが殆どなのです。
人によっては夢をあまり見ない、見ても忘れるケースが多いと聞きます。その点、私は覚えている方だと思います。
ちなみに昔から云われる、怖い夢や不安な夢は、目覚めた後で直ぐ誰かに言った方が良いという説があります。
傾向的にそういったタイプの夢が多いので、家族に話すことで夢の内容を反芻していくうちに、或る一日の残像めいたものが垣間見えることもあり、もしかすると正しい睡眠態勢が整えられてないのかなと考える節もあります。

夏目漱石の名作短編オムニバスとも言える『夢十夜』を読むと、実際の夢を題材に恐らく脚色して一遍のストーリーに昇華していったのではと思う次第ですが、通説にも漱石が自身の夢をベースにしたのは間違いないので、確かに多種多様な題材とその内にある観念哲学をも感じる、日頃からセンシティブな感受性と向学心に溢れた漱石の創造の源泉が『夢十夜』から汲み取れます。関連して、アヴァンギャルドな遊び心に溢れた映画版『夢十夜』もしご興味のある方にはご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

話しが逸れましたが、夢の解析はユングとフロイトの登場もあり、なかなか掴み切れない媒体と同時にやはり暗示として私には映る捉え方です。
やや馬鹿にされるやもですが、夢占いから自身の潜在的な体調を図るバロメータとしている部分があります。
これは毎度見る夢がストーリー仕立てなので、つい意味を探したくなる衝動に駆られてふと試してみたところ、妙に納得できる潜在意識解析に繋がったように思った経緯からです。
とは言え、暗示でも30分後にはすっかり忘れてしまいます。
所詮と考えると、夢は何らかの暗示を与えようが、直ぐに忘れ去られるものであり、儚い幻が故にまた遭遇を望むところもあります。

映画鑑賞はそうした点では、作品世界を通した疑似体験の場、人によっては醒めない幻のようなものかもしれません。
そして映画からの暗示はそのまま人によっては人生に反映させていく力となり得ます。
そんな映画=‘夢’との出逢いを演出できる映画館でありたいとも思います。

【漁港口の映画館 シネマポスト 作品紹介】
『熊は、いない』
1月20日(土)から1月26日(金)まで上映。
政府から映画制作を禁じられながらも不屈の精神で映画を撮り続けるイランの名匠ジャファル・パナヒが監督・脚本・製作・主演を務め、自らを題材にして撮りあげた社会派サスペンス。
2022年・第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査委員特別賞受賞。




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