見出し画像

日常をスペシャルにするインディーズ映画の巨匠ジム・ジャームッシュ監督

現在、大ヒット上映中の【 あの時の恋を『ちょっと思い出しただけ』】にも出てくる、映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』が話題を集めています。

そこで今回は、タクシーという日常的なアイコンを5つの都市で表現した『ナイト・オン・ザ・プラネット』の監督であるジム・ジャームッシュ監督にクローズアップ。

2020年に長編映画監督のデビューから40周年を迎え、2021年には日本全国の一部映画館で【ジム・ジャームッシュ レトロスペクティブ2021】という特集上映も行われました。根強い人気を誇り、ニューヨーク・インディーズ界の巨匠と呼ばれるジム・ジャームッシュ。そんな唯一無二の彼の作品の中から、「日常」にフォーカスした作品をいくつかご紹介します。

『ナイト・オン・ザ・プラネット(原題:Night on Earth)』
1991年

あらすじ
舞台はロス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの5つの都市。タクシーの運転手と乗車したお客の物語がオムニバス形式で描かれています。同じ地球の、同じ空の下で、それぞれの国のタクシーの中で繰り広げられるユニークな短編ドラマ集です。

都市の色味が反映されたキャラクターとトーク。筆者のお気に入りのパートはパリの回です。次の乗客として登場する盲目の美しいお姉さんとドギマギする運転手の会話劇には、最後まで惹きこまれてしまいました。夜が舞台となっているので、夜に観るのがおすすめです。

『コーヒー&シガレッツ(原題:Coffee and Cigarettes)』
2003年

あらすじ
コーヒーを飲み、たばこを吸い、話をする。そんな何気ない空間をさまざまなパターンで映し出した11のショートエピソード集。ジム・ジャームッシュ作品のお馴染みの俳優やアーティスト、個性溢れるキャストたちのコーヒー&シガレットトークはクセになります。

普段、映画でお目にかかれないロックスターやミュージシャンの掛け合いがなんとも贅沢。コーヒとたばこだけで、11エピソードも飽きる事なく見れるのか?と心配にもなりましたが、そこは流石のジム・ジャームッシュ監督。どのエピソードもユニークで、コーヒーを飲み、たばこを吸いたくなるエピソードばかりです。

パターソン(原題:Paterson)』
2016年

あらすじ
主人公は、パターソンという街に住み、バスの運転手をしているパターソン。彼は、妻のローラと愛犬のマーヴィンと平穏に暮らしています。特に代わり映えしないルーティンのような毎日。そんな日々と個性豊かな人々を詩に書き留めていくパターソンの日常が心地よく映し出されています。

今回ご紹介する作品の中で、最も凡庸な作品かもしれません。しかし、その凡庸さ、平穏さ、なんでもない日常をスペシャルにしてしまうのがジム・ジャームッシュ監督の魅力でもあります。毎日が同じようで、少し違う。まずい味も愛おしい。繰り返しているようで新しい。そんな日常が丁寧に詩的に美しく描かれています。

ご紹介した、ジム・ジャームッシュ監督作品の中で、気になる映画はありましたでしょうか? 今回は「日常」というテーマでピックアップしましたが、ジム・ジャームッシュ監督はゾンビや殺し屋、一風変わった設定の名作もいくつもあります。ぜひ、お気に入りのジム・ジャームッシュ監督作品を見つけてみてください。

また、『ナイト・オン・ザ・プラネット』はアップリンク吉祥寺にて、2022/3/10まで上映されています。大きなスクリーンで観れる貴重な限定公開、ぜひ足を運んでみてください!

シネマ通信とは
シネマディスカバリーズとは

▼この記事を書いた人 
渡辺 / ライター、エディター 
映画が好き、大好き。映画を軸に、さまざまなメディアで執筆、編集をしています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?