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短歌

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#散文

短歌連首「sign」

短歌連首「sign」

試しに手 振ってみたんだ
悲しみにこんにちはって、こっち来るなよ

くちびるに閉じ込めていた嘘があり
振り返るとき歌に変わった

ささくれを抜いてみたけど
思い出は痛いまんまで滲んだだけだ

君が夢に出てきてくれど愚かにも
僕は見破るタトゥーの位置で

その水が濁っていても飲めたのは
君という名の沼だったから

君の良さに気付かぬ俺も阿保だろし、
俺に惚れない君は馬鹿だよ

心でも身体でもなく君の

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自選短歌「あまりにも夏」

自選短歌「あまりにも夏」

空の青 海の蒼さに南風(ぱいかじ)は
僕の青さを撫でて吹きゆく

プリズムに抱かれて散る夏の午後
クリームソーダの泡(あぶく)のように

二人して飲んだオリオンビールから
君に見せたいブルーが香る

指笛に呼ばれるように手をかざし
潮風(うすかじ)撫でるエイサーの夜

中華街、キンパイビールに歓喜した
恋は夏色まるで台湾

出会う前からの約束 
ジャームッシュ映画で恋の付箋回収

煙に巻く 浮気心

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