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菅首相の“除外6人の名簿見てない”発言 真実に近づき、嘘に近づく

〇いきなりですが、タイトルの説明をさせてください。近づいている「真実」とは、学術会議が推薦した新会員候補6人を菅首相が任命せず、除外した問題を巡り、菅首相は6人の載った名簿を見ていなかったと述べましたが、実は見ていたということ。それに伴って菅発言は「嘘」に近づいていく、ということです。

〇菅首相は2020年10月9日の朝日新聞など複数社とのインタビューで、上記の6人の名簿を見ていなかった、手元に来た名簿ではすでに6人は除外され、任命した99人しか載っていなかったと断言しました。6人を除外した責任を逃れようとしたと考えられます。しかしこの問題への対応としては、信じられないほどの悪手でしかありません。
推薦名簿に基づき任命(任命しないことも含めて)するのは菅首相ですから、責任を逃れることはできません。全部の名簿を見ずに任命行為をしたのなら、違法だという厳しい声も出ています。

○さらに菅首相の言う通りなら、首相以外の人が名簿から6人を削ったわけで、それは越権行為かつ、これまた違法行為です。俗に言えば「菅内閣は首相抜きで事が進む、いい加減な内閣か」という声も出るでしょう。

○菅発言後の厳しい批判の声に対し、菅首相側近は、火消しに追われました。10月13日の朝日新聞などによると、加藤勝信官房長官は記者会見で、任命から除外された6人を含めた105人の名簿が、任命の決裁文書に参考資料として添付されていたと認め、「首相は詳しくは見ていなかった」と説明しました。

○学術会議の推薦に基づかず任命したのではない、と違法性を否定し、菅首相の6人の名簿を見ていないという発言にも調和させようとした、苦心の説明です。しかし、推薦に基づいて任命することと、推薦の6人の名簿を見ていないという発言は、どう考えても相いれません。忠臣(?)の苦心も実を結んだとは言えません。

○また朝日、毎日などによると、杉田和博副官房長官が任命の事前に「任命できない候補者がいる」という趣旨の報告をしていたといいます。首相は決裁時にも同様の説明を受け、決済の判断をしたのだとか。これならば、任命の違法性は解消されると政権側は考えるかもしれませんが、菅発言が、もろに嘘になってしまいます。「菅首相、側近に下手な言い訳を考えてもらうのではなく、改めて記者会見をして、国民が納得できるような説明をしてくださいよ」と、国民側は思わずため息が出てしまいますね。

○この問題の今後の展開を占う意味で、各紙の10月13日の朝刊のこの問題の扱いを比べてみましたた。毎日、東京、1面トップ、朝日3面トップ、産経2面3段、日経4面のメイン記事。しかし、読売だけは全く扱っていません。政権への応援色を強めている読売の、扱わないという扱い方(任命しない、と似ている)が、この問題の重要性を裏付けています。

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