【保存版】人間拡張の外観が分かる9冊
この記事の想定読者は、人間拡張(HumanAugmentation)に関心を持ち始めたBizdevや企画職種の方、この領域での研究を検討する学生さんです。
人間拡張について日本語で発信されている情報がまだまだ少ないですが、『これだけ読んでおけば人間拡張の外観は掴める』という本をピックアップしてみました。お時間がない方は基礎編だけでも十分だと思います。
サクッと外観をおさえたい方は、手前味噌ですが、私の会社が運営する人間拡張専門メディア『Human Augmentation Labo』のホワイトペーパー「人間拡張入門編」がおススメです。[読了時間は10分]
基礎編
文章量やイラストの多さなど、読みやすい順に紹介していきます。
新しいヒューマンコンピュータインタラクションの教科書
【玉城絵美】
人間とコンピュータ/テクノロジーとの相互作用を研究する分野『ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)』において、これからこの分野を学び始める人が、最低限知っておきたい内容を網羅的に紹介した本です。私が人間拡張に関心をもったキッカケでもある玉城絵美先生(@hoimei)の著書でもあります。専門書と比べて文量が少なく、イラストや図解も多いので、サラッと読めます。
最先端の研究者に聞く日本一わかりやすい2050の未来技術
【中村尚樹】
科学技術に世界から遅れをとった日本が、起死回生の策として打ち出した『(内閣府)ムーンショット型研究開発事業』の研究内容を紹介した本。実は、この事業の研究テーマの一つとして人間拡張が大々的に取り上げられています。日本政府が人間拡張技術に期待し、どのような社会を創ろうとしているのか、きたる未来を知るための一冊です。
自在化身体論【稲見昌彦 他】
人間拡張研究のパイオニアである稲見昌彦先生(@drinami)を筆頭に、この領域の第一線で活躍する研究者達が、人間の新たな身体像(※)とそれにまつわる技術のユースケースを紹介している本です。
※「(物理的な)人の身体」の制約を超えて、その機能を拡張しようとする概念。具体例としては、仮想空間のアバター、遠隔操作ロボット、サイボーグなどが含まれます。
拡張の世紀 テクノロジーによる破壊と創造
【ブレット・キング】
人間拡張の概念が日本に広まるキッカケとなった1冊。テクノロジーが人間に与える影響や、テクノロジーと人間の融合が進んだ先に『拡張人間(人間の身体や脳を改良するテクノロジーが進化し、それを取り入れた人間)』という概念が現実のものになること、またそれによって我々が直面するであろう問題(雇用や産業、健康への影響等)を示唆しています。冒頭ではテクノロジーが浸透した世界がストーリー形式で書かれているので、未来のライフスタイルをイメージしやすいです。
応用編(専門別)
アバターワーク【株式会社 往来】
人間拡張の中の1テーマとして『存在拡張』という領域がありますが、その『存在拡張』にフォーカスした本。メタバースや仮想アバターの台頭により、生身の身体から解放された世界で生きることが可能になりつつあります。仮想アバターやメタバースに纏わるサービス、ユースケース事例、ユーザーの体験談などが豊富に盛り込まれており、実務で取り入れやすい内容となっています。
脳と人工知能をつないだら、人間の能力はどこまで拡張できるのか 脳AI融合の最前線【紺野大地、池谷裕二】
ブレインテック(BrainTech)も、人間拡張の1テーマである『認知拡張』に含まれます。こちらはブレインテック領域で有名な紺野大地さん(@_daichikonno)の著書。ブレインテックの最新動向を追いたい方は、紺野さんが発信する情報を拾うのが一番効率が良いかと思います。紺野さんはnoteでも発信されているので【こちら】もどうぞ。
事例で学ぶ人を扱う工学研究の倫理 その研究、大丈夫?
【福住伸一 他】
人間拡張は人に密接にかかわる技術なので、倫理的な扱いに慎重になる必要があります。実証実験のお作法やプロセスを知る上で、倫理面での実務的な内容がまとまっているので、人間拡張のプロダクト開発にかかわる方は、手元に置いておきたい一冊です。
バイオハッキング テクノロジーで知覚を拡張する
【カーラ・プラトー二】
人間拡張の1テーマとして『知覚拡張』という領域がありますが、バイオハッキングを中心に、テクノロジーが人の知覚を拡張する可能性について、興味深いアイデアや実践例を提供している1冊です。一方、技術の進化に伴い、その安全面や倫理的な問題についても注意喚起されています。
トランスヒューマニズム 人間強化の欲望から不死の夢まで
【マーク・オコネル】
トランスヒューマニズムは、”人間の限界を超えるためにテクノロジーを用いて人間自身を進化させる思想や運動のこと”を指し、人間拡張の考え方と密接に関係しています。著者は、トランスヒューマニズムが、現代の社会問題を解決する一助となると示唆すると同時に、倫理的な問題を引き起こす危険性があることも指摘しています。
昨今のAIの議論にも見られますが、先端技術が生まれるたびにその便益と危険性の狭間で論争が勃発します。しかし、技術の社会浸透が止まることはありません。過去の歴史を見ても、人々は、技術との平衡点を見つけ、生活に取り入れてきました。人間拡張という先端技術を活かすか殺すのかも、今後、我々がどのような未来を創りたいかにかかっています。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございました!
人間拡張に興味を持ってくれる人が一人でも増えてくれれば、それ以上に嬉しいことはありません。
人間拡張専門メディア『Human Augmentation Labo』では、人間拡張領域の国内外の最新ニュースや、人間拡張に係わる先端技術の情報、編集チームの考察などを発信していますので、人間拡張領についてより深く知りたい方は、ぜひご活用ください!
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