皮も根も丸ごとおいしく!広島の野菜ソムリエが提案する地元食材SDGs鍋
寒い冬、鍋物が恋しくなりませんか。飲食店情報サイトのぐるなび(東京)が薦める今年のトレンドは「まるごと鍋」。地元の食材を使い、無駄なく調理して食品ロスを減らすのがポイントです。広島市安佐南区の野菜ソムリエ上級プロ、花井綾美さん(68)は、旬の野菜たっぷりの鍋を提案します。皮も根も丸ごとおいしく味わうことで、料理の時短にもなるそうです。(林淳一郎)
煮崩れせず、調理時間も短縮
この時季、広島市内の産直市やスーパーにも冬野菜がずらりと並んでいます。ダイコンや白ネギ、ブロッコリー…。花井さんの食材メモを見ながら買うと、エノキダケとシメジを除いて全て広島県産でした。
具材がそろったら、さあ調理。国連が掲げる持続可能な開発目標の一つ、食品ロス削減にちなみ、花井さんが名付けた「SDGs野菜鍋」です。
ダイコンやニンジンは皮ごとピーラーで薄くそぐと、驚くほどの分量を食べられます。ダイコンの葉も刻んで具材に。サトイモは、たわしなどで土を洗い落として下ゆでします。「皮をむくなんて、もったいない。むかない方が煮崩れしにくいし、調理の時間もぐんと短縮できます」と花井さんは言います。
「フィトケミカル」で老化防止・免疫アップ
野菜などの皮と実の間には、フィトケミカルという成分があり、老化防止や免疫力アップの効果があるのだとか。栄養をバランス良く取るには、多彩な野菜を使う方がいいそうです。
花井さんは2年前、地元の祭りで皮付き野菜たっぷりのだんご汁を作って、近所のみんなに「いいんですか?」とびっくりされたと振り返ります。
「これで、いいんです」
ゴボウもニンジンも洗うだけ。大きめに切って鍋でぐつぐつ煮て味わうと…
「おいしい!」
「今じゃ、皮付きの調理が当たり前。早くできて余すことなく食べきる満足感もあります」と花井さん。とはいえ、硬い部分まで無理して食べなくてもいいそう。「できることを続けてもらえたら。それが食品ロスを減らすこつです」
家庭の食品ロス3年連続減
そうした意識が高まりつつあるのかもしれません。家庭の食品ロスの量は、農林水産省などの推計によると2019年度は261万トンで、前年度から15万トン減りました。16年度から3年連続で減少しています。
今回、花井さんのSDGs野菜鍋で出たロスは、ダイコンのへたとブロッコリーの茎の硬い皮、キノコの石づきくらいでした。余った野菜は、冷凍保存したり、軽く天日で干したり。そのひと手間で、別の日の料理の具材に生かせます。
(「食材のロスを抑えて、旬の地元野菜を心ゆくまで味わって」と話す花井さん)
栄養たっぷり 1人暮らしにオススメ
野菜鍋のスープも「最後の1滴まで楽しんで」と花井さん。麺やご飯を入れると締めになります。みそ汁や煮物のベースにも活用できるそう。「時短料理は早く作ろうとして食材が少なくなりがち。いろんな野菜が入る鍋なら味も栄養も豊かになります。1人暮らしの人も、ぜひ試してください」と呼び掛けています。