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野菜×かき氷!?「ベジタブル系」が中国地方で続々

 かき氷の進化が止まりません。トウモロコシやゴボウ、トマトなどの野菜を使った「ベジタブル系」が中国地方でも次々登場。意外な組み合わせに少々驚きますが、三原市のかき氷愛好家園田美穂さん(50)は「多彩な食材とマッチするのが、かき氷のポテンシャルの高さ」と魅力を語ります。スイーツの枠を越えた個性光る一皿を紹介してもらいました。(栾暁雨)

 国内外のかき氷店巡りがライフワークの園田さん。10年で500軒以上を訪れ、多い時は1日5杯を食べる。 

 最近のイチ推しは廿日市市宮島町「カフェ ハヤシヤ」の「とうもろこし&広島白みそチーズ」だ。氷の上にかかるのは濃厚なトウモロコシソースやチーズ、焼きもろこし風のヤングコーン。食べ進めると白みそソースやショウガソースなどのアクセントがしのばせてある。「甘じょっぱさが新鮮。味や食感の繊細な変化も楽しめて飽きない。なかなかのボリュームだが、ぺろりと完食できる。7月まではニンジンソースにシナモンなどを組み合わせたメニューもあり、お気に入りだったという。

 園田さんが独創性に驚いたのが倉敷市の「Chou2(シュシュ)」が提供するゴボウを使ったかき氷。ミルクを泡状にしたエスプーマの上に塩気のあるきんぴらゴボウをのせ、ソースもゴボウという食物繊維たっぷりの一品だ。「かき氷の振り幅の大きさに感服」した出合いだったそう。

 猛暑に加え、写真共有アプリ「インスタグラム」の普及で「映える」かき氷の人気は高まるばかり。かき氷専門店は全国で増えている。ソフトクリームやプリンをのせたり、生の果物をごろっと盛り付けたり。凝った「創作系」が目立つ。値段は千円前後のものが多い。わざわざその店まで行かないと食べられない希少性も、ファンを引きつけているようだ。
 
 そんな中での「ベジ系」の登場。園田さんは「店が個性を競い合う中で、食材が多様化しているんですよ」とみる。東京や大阪では、天ぷらなど揚げ物をトッピングする店もあり、自由で斬新な発想に驚かされるという。

 園田さんの願いは「かき氷を、アイスやパフェのように年中食べられるスイーツにすること」。かき氷店巡りをするうち、その奥深さに気付いた。天然氷を使うのか、飲料水を凍らせた純氷を使うのか、どんな風に削るのか―。氷だけでも、こだわりポイントはたくさん。さらに、シロップやトッピングを考えると、おいしさの可能性は無限大という。

 かき氷の魅力を知ってほしいとの思いは募るばかり。昨年はお気に入りを掲載した本を出版し、新作かき氷の監修も手掛ける。

 最近は、かき氷愛ゆえに、最近は客のマナーが気になってしまうそう。テーブルに運ばれた瞬間が食べ時なのに、SNSに投稿するための写真撮影に夢中になる人が多いからだ。「すぐに食べないなんてもったいない。溶けてしまうはかなさも含めて一瞬の美を楽しんでほしい

 自身は「撮影時間は最小限」を心掛け、これまでに食べたかき氷の写真約600枚をインスタグラムで紹介している。アカウントはitoshinokakigori

かき氷の写真は園田さん提供