言葉の壁を超える「この子を理解しよう」という気持ち
今日のnoteは、たくさんの方に反響頂いた昨日のnote: ”「子供に発達障害があるから親子で渡米を決意」そんな親子がいることが異常だっていうことに気づいてほしい ” の続編です。
日本生まれの日本人であるアスペルガー症候群と診断された息子のアメリカにきた頃の気持ちについて書いています。
ーーー息子の視点を通してアメリカの支援教育をみることで、
日本の支援教育に足りない”何か”が見えるーーー
<英語を話せないことがコミュニケーションの壁にならない不思議>
息子がアメリカに来た時、息子は英語が全く話せなかったんだよね。おそらく、YES, Hello, Thank you、ぐらいしか知らなかったと思う。
当時のことを息子に「不安だった?」ってきくと、「うん、少しはね」と。
でも息子はこう続けたんだよね。
『日本にいる時は、みんなが集められて先生が何か話した後に、他の子はすぐ何かを始めることが多くてね。でも、僕は一体何をしたらいいか分からなくてそういう時はいつもパニックになった。で、結局何も出来ないままだった。日本語は普通にわかってたのに…。
でもアメリカに来て、言葉は全くわからなかったけど、先生たちは僕が分かる方法で一生懸命何かを伝えよう、僕のことを理解しようとしてくれたんだよね。絵で描いたり、絵カード使ったり、ゼスチャーしたり、へんてこな日本語で時には言ってくれたり(笑)。「指示したからさぁやりなさい」じゃなくて僕がわかってるかどうか確認できるまで何かの方法をトライし続けてくれた。
友達もそう。いつも誰かが僕のことを気にかけてくれてた。だから先生の指示のあと、ポツンと取り残される事もなかったんだよね。言葉は全くわからなかったけど、みんなが一生懸命ぼくのことを理解しよう、わかるように伝えようとしてくれてるのが嬉しかったし、安心だった。』
<”他のみんなと同じじゃなきゃダメ”からの解放:みんな違って当たり前>
『例えばお昼ごはん、日本の保育園では大きなホールでみんなと一緒に食べるのがすごく苦痛だった。ざわざわした音は耳に凄く痛かったし、色んな匂いが混ざるのも嫌だった。それより何より、出されたものは全部食べなさいって言われるのは辛かった。ぼくはご飯しか食べられなかったからね。その場にいるのが苦痛だったから何度か逃げたんだけど、でもいつも同じ場所に座らされた。食べるものもないのにただじっと。苦痛でしかなかった。
でもアメリカに来てホールで食べるのは同じだったけど、お弁当を持って行ってよかったのは嬉しかったな。何をどれだけ食べたかって監視される事もなく純粋に食事を楽しめた。それに音も匂いも嫌だって伝えたら、外のベンチで食べていいよって言ってもらえた。毎日先生も友達も何人かついて来てくれた。こんな風に「僕のことをわかろう」としてくれたのが何よりも嬉しかった。』(以上、息子の気持ちです)
<”この子を理解しよう”という姿勢がなきゃ、何も始まらない>
発達障害のある子たちへ指導の中で、他の子ができている事を同じ方法で「この子にもわからせよう」とする状況は学校でも家でも多いと思うのね。でも発達障害の子には、「何度も何度も」といった指導の「量」じゃなく、彼らに合った「質」が必要なんだよね。その為にはまず、『その子のことをわかろう』から始めないと何も始まらない。
言葉の壁はコミュニケーションにおいてはとっても大きな壁にはなる。だけど、
「共通の言葉を話すけれど相手に寄り添おうとはしていない」
よりも
「共通の言葉を話せないんだけど相手の事を理解しようという姿勢」
の方が、人と人との良好な関係を築く上では大切なんだなぁと息子のアメリカでの経験を通して私は学んだんだよね。
日本において発達障害の子のほとんどは日本語を話せるよね。でも良好な人間関係を築けているか?と言われればNOだよね。
その答えをこのnoteから見つけてくれた人がいてくれたら嬉しいな♪
最後に、ある時に息子が私に書いてくれた感謝の気持ちがいっぱい詰まった手紙をシェアします。日本人の息子がアメリカで手にした”Better life”。
昨日のnoteにも書いたように、日本に生まれた発達障害の子が日本でBetter lifeを手に入れられる日が来てほしい。そんな想いを込めて書いた昨日と今日のnoteです。
Dear Mom,
Mom, I'm thankful for all the things you did to make my life the way it is now. Thank you for not neglecting my having of Asperger's Syndrome. I'm also thankful for you sending me to U.S. with you so I can have a better life.
たくさんの方々に読んでいただいたり、支援方法を参考にしてもらえたらと思い記事を無料公開していますが、 今までもこれからも勉強を続ける私の為に「投げ銭」という形でご支援いただければすごく励みになります。 よろしくお願いします。