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自閉症の動物学者テンプル・グランディンが説く「自閉症の子が興味のある物を示してあげ”スイッチ”を入れてあげる」支援の大切さ

テンプル・グランディンのTEDスピーチ『世界はあらゆる脳を必要としている』を久しぶりに観ました。

【概要】子供の頃に自閉症(アスペルガー症候群)と診断されたテンプル・グランディンが、彼女の脳の働き方について話します。視覚型思考者の彼女の“絵で考える”能力が、一般的な自閉症ではない人の脳が見落としがちな問題の解決に役立つと言います。世界は、自閉症の領域にあるとされる人たち(●視覚型思考者、●パターン型思考者、●言語型思考者や全ての風変わりな天才達)を必要としていると訴えます。

テンプルは、「もし魔法で自閉症が絶やされてたら、人類は今も洞窟の入り口で薪を囲んで暮らしているだろう。きっと初めて石槍を作ったのはアスペルガーの人。もし自閉症がなくなれば、昨今のエネルギー問題は解決されないだろう」とTEDで述べています。自閉症の人が持つ『違う脳』の必要性を訴える彼女の理由はここにあるんですね。

「自閉症の人が全て天才のように言わないで!」という主張をよく聞きます。私も確かにそうだと思います。天才なんて周りの人間が作り上げるんですよね。自閉症であってもなくても、他の人より秀でてたりする才能や他の人には思いつかない考えを持つ才能を、周りが認めて初めて天才が生まれるんだと思います。だから

「自閉症の人がみな天才」ではまく、「天才と言われる人の中に自閉症の人もいる」

っていうのが私の考え方です。

ではなぜ自閉症の人が天才と言われる事が多いのでしょうか?
それは自閉症の人だけが持つ「自閉症ではない人とは違う特殊な脳」の為じゃないかなと思うんですよね。テンプルは「特殊な脳の持ち主は一般的な脳の人が見落としがちな問題を解決に導く視点を与えてくれる」と主張しています。だからいかに周りがその視点に気づくかが大切なんじゃないかなって思います。

テンプルは、まだまだ一般的な脳の人が見落としがちな問題を解決に導く特殊な脳の持ち主が発掘されないままになっている現状を問題だとし、彼らへの適切な関わりを訴えています。その為には、個別の丁寧な関わり、特にその子が持つ得意分野のスペシャリストとの関わりが肝心だと言っています。

また、「親や支援者が、こちらの世界に視野を開いてないであろう自閉症の子を前にした時なんとアドバイスしますか?」という質問に彼女は『彼らが興味のある物を示してあげ”スイッチ”を入れてあげてください』と。彼女はその子の興味の探求こそが大切だと考えているんでしょうね。自分がそうしてもらえて開花したから。

「その子のスイッチを入れる為に執着心(こだわり)を利用すればいい」っていうのは、以前のnoteにも書いたビヘイバートラップですね。例えば、レゴに執着し同じ物ばかり作る子には「他の物を作ったらどう?」と促したり、車が好きな子なら算数の勉強にその特性を使ってみる。「この距離を何分で走る?」などなど。

私は決してテンプルの主張のように、天才の要素を持つであろう自閉症の子の才能を”世界の為”に開花しようとは思いません。ただ私は、そういう特殊な脳を一般的な脳の考え方や見方に同化させよう、いわゆる”普通を目指そう”とする支援に「そうじゃないんだよ。その子のその特性を活かしてあげようよ」と伝え続けたいです。世界ではなく、その子自身の為に。

たくさんの方々に読んでいただいたり、支援方法を参考にしてもらえたらと思い記事を無料公開していますが、 今までもこれからも勉強を続ける私の為に「投げ銭」という形でご支援いただければすごく励みになります。 よろしくお願いします。