【医療事故をなくすための新素材!】~ビジネスモデル考察Vol.64~
■背景
既存の手術トレーニング用の模擬臓器は「環境面への配慮」や「価格の問題」や「倫理的問題」などの問題を抱えている
⇒これらの問題を解決した製品を作れば需要があるのではないか
■ターゲット
医者
■ビジネス詳細
・手術トレーニング用の模擬臓器として、人間の臓器に近い質感や形状を再現した新素材『VTT』の開発・製造
⇒VTT(Versatile Training Tissue)はこんにゃく粉を主体とした感触や強度が人間の臓器と非常に近い新素材
⇒外科手術における電気メスでの切開、はく離、縫合等の実践的トレーニングを容易に積むことが可能
・VTTは色や形をコントロールしてあらゆる臓器を再現可能
⇒動物やシリコン、献体などではカバーできなかった「環境面への配慮」「価格の問題」「倫理的問題」のいずれもクリアすることができる素材として注目
・現在5パターンの臓器モデルを開発済
■ユーザーのメリデメ
▷メリット
・手術の実践的なトレーニングが容易にできる
⇒既存の製品よりも再現性が高い
▷デメリット
・感触などの再現性は高くてもあくまでトレーニング用の模擬臓器であり、切開しても血などは出てこないためリアリティに欠ける
■事業者メリデメ
▷メリット
・既に販売している腹腔鏡手術のトレーニング機器の販売ルートを活用できる
・現場の声を元に製作しているため需要は高い
・VTTを非常に低コストで製造することが可能である
・特許を出願しており、サービスの真似をされる心配がない
▷デメリット
・市場が小さい
⇒今後の手術トレーニングの需要の高まりとともに世界的に市場が拡大していく
・似たような製品を出している企業は存在する
⇒価格や品質で上回っているため問題ない
■今後の展開・課題
・対応する臓器の種類を増やしていく
・特殊な事例にも対応していく
・医療シミュレーション市場で別の新製品の開発を行う
■考察
・価格が安いうえに既存品が抱えていた環境面や倫理的な問題を解決しており、利用が当製品にシフトしてくると考えられる
⇒倫理的な問題に関心が高い欧米などではより利用が増えてくると考えられる
・現場が必要としている別の臓器の開発なども容易に製作可能なため応用が効く
⇒特殊な症状が出ている人に対して個別の事例の再現ができれば相当強い
・2023年に行われる医療業界の制度改革により、学生の実習の段階で本格的な臨床実習プログラムが組まれると想定されており、より需要が高まると考えられる
■企業
VTT(KOTOBUKI Medical株式会社)
▽参照:FUNDINNO