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本棚本S2まとめ No.21-30:問いかけと謎かけ

途中かなりダウンした時期が続いたため、10冊分の記事を書くのに3ヶ月ほどかかっていました。
こわ。

それではさっそく、今回の10冊をみていきましょう。

これまでの本は、こちらのノートにまとめてあります。

タイトルだけ並べるとこんな感じ。

神様の罠
烏は主を選ばない
別冊図書館戦争II
馬と少年
ビスケットとスコーン
発現
メメンとモリ
ラヴクラフト全集1
美人の手紙
ピーター・パンの場合

表紙を並べるとこんな感じ。


謎はなにも、ミステリだけの専売特許ではない、と最近思います。
「謎」にどうアプローチするのか、「謎」がなんなのかによって、物語のジャンルがかわるのではないかと。

『神様の罠』はそのバランスが顕著で、ミステリもあればエッセイ調の作品もあります。
謎は必ずしも殺人などの犯罪である理由はなく、日常の不思議も、文章の妙も、謎の一つとなりえます。

ホラーも「怪奇現象」という謎を追う物語です。
その「謎」が、霊的なものなのか、この世ならざる存在なのか、それによってホラーとSFホラーに分かれる傾向にあるとは思いますが。

そしてファンタジーも、ときに「謎」をはらんでいます。
『烏は主を選ばない』は、ファンタジーでありながら謎解きの要素が大きく、その点で冒険活劇である『馬と少年』とは異なります。
……というかね、阿部智里さんの読者に裏切り方が尋常じゃないんですよ。
ほんと好き。
何度でも記憶を失って読み直したい。

問い

問いもまた、物語の核になります。
自分とは何かを問うこと、自分が何に向かっているのかを問うこと、自分を中心に据えた問いがあります。
世界はなぜこうなのか、なんでそんな理不尽があるのか、どうすればその存在を認めることができるのか。
そういう、まわりの世界を知るための問いがあります。

物語の多くは、自分を知るための物語です。
そして主人公は自分とは何者か、ということを知りますが、同時に、そこには自分が知り得ない人の人生が関わっていることも知るのです。

『馬と少年』に出てくる富豪の娘、アラビスは、自分が親元から逃げたことで、侍女たちがどんな目に遭わされたのだろうかと、アスランに問いかけます。
全知全能のアスランは、アラビスの問いに答えてはくれませんでした。
「それはほかの人の話だから、あなたが知ることはできないのだよ」と言って。
冒険に出て知ることができるのは、せいぜいが自分のことだけ、他人の心のうちやその後の人生を知ることはできません。

生と死の概念、大人と子どもの境界。
こういった問いには明確な答えがありません。
時代によって、地域によって、人によって変わっていきます。
30年前の概念は、現在とは少し違っています。
いろんなアプローチを経てわかってきたこと、わからないこと。
どちらもこれからさらに考える糧になると信じるしかないでしょう。

お作法

ものにはお作法というものがありまして、何事も基本が大切です。
基本を知った上で、それを好きなようにアレンジするのが「型破り」、基本がなっていない我流は「形無し」。
いつもこの言葉を心に留めておきたいと思います。

さて、スコーンのお作法について長々と述べましたが、結局は自分の好みを見つけるのが一番。
でも基本を知らないと、美味しくないなあ、で終わってしまうので、もったいない。
お手紙もそう。
目上の方に失礼のないように、枠組みだけはきちんとしていれば、中身はなんだって好きなことを書けば、それで「きちんとした人ね」という印象を持ってもらえます。

本だってそう。
ジャンルごとの「型」があり、それをベースに物語は発展していくものです。
その型を知らないと、物語自体を楽しめないのは、いうまでもありません。

まとめ

うっかり『別冊図書館戦争II』をまとめそびれましたが、あれは「謎」ジャンルでいいのかな。
もう好きなだけラブコメしてくれよ、という気持ちが強すぎて、他とうまく組み合わさりませんでした。
残念残念。

お知らせです。
このあいだつぶやきでちょろっと書いた、本棚本ラジオ、少しずつ準備を進めております。
「下手くそなおしゃべりでも聞いてやんよ」という心の広い方は、もう少々お待ちください。

さて、次回の10冊はどうなるでしょうか。
お楽しみに!

放っておいても好きなものを紹介しますが、サポートしていただけるともっと喜んで好きなものを推させていただきます。 ぜひわたしのことも推してください!