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本棚本ラジオ

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【本棚にある本を片っ端から紹介するラジオ】はじまります! 略して「本棚本ラジオ」 noteで連載中の「本棚にある本を片っ端から紹介する」のラジオ版です。 あなたのほんのちょっと…
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2024年2月の記事一覧

【本棚本ラジオ第30回】泰麒について語り出したらシリーズ全体の話になってた

【本棚本ラジオ第30回】泰麒について語り出したらシリーズ全体の話になってた

*今回の本*
小野不由美著『風の海 迷宮の岸』(新潮社、2012)
(本棚本Season1 No.61)

*失われてしまった泰麒の原点がここに*
「十二国記シリーズ」の泰麒側のお話。
このころのいとけなくかわいらしく儚げな泰麒のイメージを、ずっとずっと持っていました。
持っていた、のに!
『白銀』で壮絶な美しさと厳しさに成長してしまった泰麒の恐ろしさよ。
わたしはこのころの泰麒と現在最新刊時点の

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【本棚本ラジオ第29回】ミステリ短編集は疲れに効く

【本棚本ラジオ第29回】ミステリ短編集は疲れに効く

*今回の本*
有栖川有栖著『絶叫城殺人事件』(新潮社、2016)
(本棚本Season1 No.36)

*パズラーとしてのミステリのよさ*
ほんと、疲れに効くんですよ。
謎があって解答がある。
これほどシンプルですっきりすることって、現実世界ではそうそう味わえません。
有栖川有栖氏は作品数も多いので、ありがたい限りです。
そしてこういう「ザ・推理小説」っていうタイトルも、またいいですよね。

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【本棚本ラジオ第28回】オースティンの醍醐味は“視線”

【本棚本ラジオ第28回】オースティンの醍醐味は“視線”

*今回の本*
ジェイン・オースティン著 中野康司訳 『説得』(筑摩書房、2008)
(本棚本Season2 No.7)

*視線の先にあるもの*
オースティンの小説は、言ってみれば隣近所3軒と親戚友人一同の内輪の物語なのに、なんでこんなに魅力的なんでしょうね。
内輪の人間関係で重要なのは、なんと言っても「空気読みスキル」ですよ。
それはもう、現代日本では太刀打ちできないほどのスキルの高さ。
それが

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【本棚本ラジオ第27回】ヒトラーは脅威か、それとも娯楽か

【本棚本ラジオ第27回】ヒトラーは脅威か、それとも娯楽か

*今回の本*
ティムール・ヴェルメシュ著, 森内薫訳『帰ってきたヒトラー(上)(下)』(河出書房新社, 2016年)
(本棚本Season1 No21)

*現代に蘇ったヒトラーを、どう扱うか*
わたしものすごく大切なことを言い忘れたんですよ。
この小説、文章はヒトラー視点で進むんです。
そこにこの本の怖さがあります。
ってことを。
圧倒的な支持を得る人というのは、言っている内容よりもエンタメ性が

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