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【書評】Sales is 科学的に成果をコントロールする営業術
「営業はビジネスの根幹だ」
こんな風に思い出したのは、仕事で新規事業開発を担当し始めて「顧客の声」を聞くようになってからだ。
顧客の声には、何に困っているのか、なぜ自社の製品を買ってくれるのか、何をやりたいと思っているのか、ビジネスで考えなければいけない事がたくさん含まれている。
ただ、その声には「嘘(というか思いやりというか)」も多く含まれている。
今回、僕は下記の本を読んで「こうやれば顧客の本当の声」を聞くことが出来るのか、と非常に驚き、個人的に重要だと感じた点を書き残す。
是非顧客に関わるすべての人に読んでもらいたい本である。
「御社の課題は何ですか?」は相当センスない
僕は新規事業開発を担当していて、その中でよく問われるのは「顧客のニーズを調べる」という事だ。ニーズを把握して、それに見合う開発を行えば、成功する可能性が高まる。もちろんシーズ発進で、この技術・製品のニーズがあるか探してくる、という事もある。
では、その時お客さんに対して「御社の困っている事ってなんですか?」と聞いたらいいか、というとこれはかなりセンスのないやり方になる。まず、答えてくれない(特にないですよ)となるのか普通だ。もしくは一般的な答えが出るくらいだろう(半導体でより小さくしたいです、みたいな)。
この様な答えをもらっても何も販売・開発に繋がらない。
では、どうすればいいのかがこの本に書かれており、以下の式を理解してヒアリングをする事だ。
理想ー現実=課題
これは問題解決の時にもよく出てくる式と同じだ。
左側をヒアリングして聞き出し、右の課題を顧客とともに認識するのがいい、と述べられている。
例えば、「御社は中期経営計画で~市場に参入する予定なんですね?やはり新しい市場参入が必要なんでしょうか?(理想を確認)」そして「実際、参入のプロジェクトは動いているのですか?(現状を確認)」、と聞いて、目指している所と現状をヒアリングする事を優先すればいい。これであれば答えてくれる可能性も高い。
その上で、事前に課題と思われる事を考えておき(仮説を立てて)、「~市場って、~法などあって参入障壁が高かったりしませんか?」と聞いて、課題を顧客とともに認識する。これが出来ると有益な顧客課題を手に入れる事が出来る。
営業であれば、次にその課題を解決するのは自社の製品ですと伝える事ができれば、効果的なアピールになりえる。
この様に、「顧客課題」を手に入れるためのヒアリングを事前に設計することが、有益な情報を手に入れるための手法となる。
この本では、より詳細にその手順が述べられており、何を用意しておけばいいのか明確になる。
初心者には理解出来ない「誰に会うか」という問題
自分は営業をした事がないため、顧客に聞きに行けと言われた時、とりあえずその会社名の名刺を持っている人に話しを聞いて満足していた。
ただ、今なら分かる、キーパーソンに聞くことの大切さが。
この本では、営業として製品を紹介して、その後顧客の中で購入されるまでどのようなプロセスを通るのか知ることが重要だと述べられている。
いや、その通り。
会社は組織で、一人ひとりの権力の大きさは異なる。そのため、誰にでも同じ様に接していても仕方ない。そのため、相手の会社がどのような、購入プロセスになるのかを理解しておくことは大切になる。誰やどの部署を説得する必要があるのかを理解して提案する。これがやってみると以外に出来ない。今なら名刺管理システムなど使えば、事前にどんな組織形態なのかも分かってくる。事前の準備が必要なのは言うまでもない。
まとめ
お客さんと接する様になった人は是非一度は読んでおいてもらいたい。自分の目的に合わせて、適切にヒアリングができれば、イノベーションにも繋がっていくと思う。