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古きを重んじ、現代に必要な価値を体現する文化 〜日本の伝統芸能「能楽」、勝手に体験レポート〜

今回は、昨日体験した「能楽」について、noteにまとめてみました!

お恥ずかしながら...、能楽と聞いて頭に浮かぶのは、歴史の授業の教科書に載っていた観阿弥・世阿弥...くらいだった私。

友人から話を聞いて興味を持ち、紹介してもらった「観世流 能楽師 武田祥照」先生の教室にお邪魔し、「能楽とは何ぞや」について教えていただきました!

今回は、お話を伺って個人的に「面白い」と感じたポイントを抜粋して勝手に紹介しちゃいます。

※感想、解釈は個人の見解です。間違っている事柄があっても御容赦くださいませ(_ _)

■ そもそも能楽とは?

・「能」と「狂言」 からなる日本の伝統芸能
・演者は「謡(うた)」と「舞い」を行い、伴奏である「囃子」とで構成されているストーリーを楽しむもの(ミュージカルとかオペラをイメージすると分かりやすい)
・室町時代に観阿弥、世阿弥によって大成され、650年以上演じ受け継がれている
・「神事」として発展し、戦国時代には多くの大名に愛されていた(豊臣秀吉は自ら能を舞うほどの愛好家だったらしい)
・2008年にユネスコ世界無形遺産に選ばれている(厳島神社に能舞台があるって初めて知りました👀)


① 「舞う」という動作の美しさ

まず初めに、基本姿勢である「カマエ」について、教えていただきました。

人差し指を親指にかけ、腕は弓なりに、膝は曲げて重心は落とし、移動は摺り足で...

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実際にやっている時は「ぎこちなくて、変な姿勢になってるかも...泣」と思っていましたが、後々写真を見てみると、「自分じゃないみたい🙈✨」と綺麗で、堂々とした立ち姿に感動しました。

踊り」がおどりあがるというようなリズムに乗った跳躍の動作を主体とするのに対して、「」は旋回の動作を基本としているので、腰の高さは常に変動しないように動く必要があるのだそう。

この姿勢をずっと続けれいられるなんてすごい... と驚きつつ、「舞」ならではの美しさも体感することができました。

② 観るものに解釈を委ねる「余白」の美学

能楽では、紙吹雪で雪を表現するなど歌舞伎に見られる天候の演出や、照明の明暗もない。また、能面を付ける分、顔の表情も見えない。

そんな道具や演出が最低限であることも、能楽の特徴なのだとか。

省略することで残される観客への余白。受動的に鑑賞するのではなく、自分なりに情景を見出したり、感情を見つけることができるのが能楽の楽しみ方なのだと理解しました。

そんな話を聞きながら、今の生活を思い浮かべてみる...。これでもかと説明が飛び交う情報過多な社会にいると、「分からないこと」に怖さや焦りを感じたり、「答え」を探したくなります。

でも能楽は「分からないこと」を受け入れたうえで、何を感じるのか心に問い、自分と向き合う時間にもなるんじゃないかと想像しました。

余白に自分は何を見て、そう捉えるのはなぜなのか。

心に問いかけてみたり、他の人との違いに目を向けてみるのも面白そうだし、現代に必要な時間なのかもしれないですね。

③ あなどることなかれ、飽くなき能面の世界

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▲ 奥が深すぎる能面をまじまじと見ております

能面」って聞くとどんなイメージがありますか?

無表情で怖いなあというネガティブな印象を持っている方も多いかと思います。まさに私もその一人だったのですが... 違いましたね、お話を聞いて、見方が180度変わりました!

能面を正面から見た時の表情は「中間表情」と言って、「喜び」と「悲しみ」の間を表現しているそう。

なので、ちょっとした角度の違いで表情が変わり、どのように見せるかは演者の表現に委ねられているのだとか。

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▲むむ。確かにしたから見てみると、無表情には見えない。ちょっと寂しげ?

女性の能面だけでも、沢山の種類があることに驚きました。しかも、髪の毛の描かれ方で年齢を見分けることができるのだとか。

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髪の乱れ=心の乱れを表現しているそうで、「小面(こおもて)」という若い女性は髪に乱れがなく、すらーっと3本の線が描かれているのが特徴。

一方で、少し歳を重ねた「若女(わかおんな)」は髪が3ブロックに分かれていて、すこしほつれているように見えます。

そして、この「心の乱れ」とは「恋を知っていること」を指すらしく、乱れのない小面は「まだ恋を知らない、純粋な若い女の子」を表現しているのだと話してくれました。(そう思うと可愛らしく見えてきますね🙈)

また、すべての能面は実際の人間と同じように左右非対称に作られている、という緻密さにも感激...!

もうひとつの大きな特徴として教えていただいたのが「写し」という、能面を作る技術です。

「本面」という室町〜江戸時代につくられた当時の能面を、傷も含めて「そのまま写す」というのが能面師さんのお仕事なのだそう。

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▲この能面も写しの技術を使って作られたもの。細部に見受けられる傷は、使う中で付いたものではなく、完成品として写されたものなんですね。

作り手の自己表現を抑えて、「いかに模すか」に徹底した職人技にとても興味を持ちました(機会があったらどのように向き合っているのかお話を聞いてみたい🤔)

④ 舞台を彩る、煌びやかな能装束たち

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最後に見せていただいたのが、能装束です。シンプルな舞台や演出に対して、とてもゴージャスな衣装。 
 
歴史を遡ると、能を鑑賞した貴族や武士が褒美として「反物」をさずけたことから、衣装がどんどん煌びやかになっていったのだとか。

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和の文様や動植物、色などを理解したうえで、どんな役柄・設定の登場人物が、どういった衣装を纏っているのかを観察してみるのも面白そうですよね。

豆知識として教えていただいた面白かったのは、衣装に金色が使われることで「レフ板」的な効果があるということ。実際の舞台の周りに敷かれている「白州(しらす)」という白い石も同じく、舞台を明るく見せる効果があるそう。

(先人の知恵が生かされていることにときめく人間なので、お話を聞いてテンションが上がったポイントでした(笑))

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以上、つらつらと書きましたが人生初の能楽体験レポートです。

お話を伺って、実際の舞台を見に行って答え合わせをしたいポイントが沢山見つかりました。

また、自分の社会人生活に「能楽を楽しむこと」を取り入れた時に、どんな反応が起きるのか試してみたいなあとも思いましたね。

優しく、丁寧、かつ情熱を持って解説いただいた先生、紹介してくれた友人に感謝の気持ちでいっぱいです。

貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました😸




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