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サロン・デュ・ショコラ パリ2007

まだ日が昇っていない朝5:30…。私は、リヨンのPart-Dieu駅からTGVに乗った。

サロン・デュ・ショコラを見る為だ。偶然この日程を目にした私は、慌ててチケットをfnac(日本のTSUTAYA的存在)でゲット。そのチケットがあると、電車代が割引になるという、金欠の私も笑顔になる情報だった。どうもフランスでも人気のイベントなのか、TGVがもう既に埋まっており、早朝の5:30になってしまったという訳だ。

メトロがまだなく、バスで途中まで行き、そこから駅まで歩いた。

このルートは、新・ステイ先のムッシュが教えてくれた。今回のステイ先は、旧・ステイ先の南仏出身のおじいちゃんのアパルトマンと打って変わり、モダンなアパルトマンだった。大きなスクリーン(TV)に大きなスピーカー、太陽の光を一杯浴びた、真っ白い壁にレザーソファ…。旧・ステイ先がクラシック・おしゃんてぃ。新・ステイ先はモダン・おしゃんてぃだった。

ところで、ムッシュは、一人で住んでいた。

入居してから気付いたのだが、待てど暮らせど、家族の姿はない。出入りするのは、彼女だけだった。しかし、このステイ先は、語学学校が斡旋してくれたところ。どうも、ホームステイとは、必ずしも家族で住んでいる訳ではないし、必ずしも、フランス人の家庭とは限らない…それが、今回学んだことだった。(旧・ステイ先が決まる前、フランス人家庭ではないところを紹介された経緯あり)

話がそれたままついでに話を続けると、ムッシュは、もしかしたら私とさほど年齢が変わらないのではないかという疑惑があった。欧米の人は、皆大人っぽいので、こちらで「このくらいかな?」とイメージする年齢より、若いことが多い。(アジア人は逆に、若く見られることが多い)

結局、疑惑を持ち続けたまま、ここでお世話になった。ムッシュは、家にいることが多く、どうも薬関係の仕事をしているらしかったが、詳細はわからなかった。それが唯一の情報だった。ちょっぴりミステリアスな部分を持ちつつも、休日は恋人の為にシャルロット・オ・ポワール等、ケーキを作ったりとマメで、バスルームも綺麗で、なんと入浴剤も置いてあった。フランスに来て、初めてお風呂時間を満喫する人に遭遇したように思う。”フランス・シャワーは5分以内伝説”は、ここで消え去ったのだった。

さて、私はパリに着いた。

久し振りに訪れたパリに、私はカルチャーショックを受けた。この数か月の間、リヨンやアルザスで生活をしていたからか、何だかここが違う星なのではないかと思う程に、都心と地方の違いを目の当たりにしたのだ。

先ず、パリジャン達は歩くのが早い!思わず笑いそうになってしまった。リヨンでは、皆今にも止まりそうなスピードで歩き、そして突然止まる。だから、車間距離ならぬ、人間距離を取らないと、ちょっとぶつかりそうになることもしばしば。化粧の濃さも違うし、深呼吸できないほど空気が悪い。
それがまた懐かしくもあり、嬉しくもあるのだが…。

サロン・デュ・ショコラは、まるで日本にいるかのように、非常に多くの日本人が訪れていた。有名ショコラティエの周りには、いつも日本人がおり、サイン&写真をお願いしていた。
やはり、有名パティシエ(ショコラティエ)は、スターなのだと思った。

もちろん、私も例外ではない。(写真は、ジャンポールエヴァン氏)

テンションの高い自分を隠しながら、あちらこちらのチョコレート屋さんを回ったのだが、心の中は、キャーキャーと大騒ぎだった。

こういうところで、日本人丸出しを恐れてはならないのかもしれない。

いつでも後悔のないようにした方が良いし、有名シェフたちも、きっと喜んでくれているに違いない…(多分)

デモンストレーションがあったり、

カカオの収穫の紹介があったり…

日本では、やっていないかな?こういうのは…。時期的にも、バレンタイン前の日本のサロン・デュ・ショコラ。パリのはより、チョコレートの文化に触れられた気がする。

お土産に、ジャンポールエヴァンの、新作を買って帰った。来年の年明け、日本のサロン・デュ・ショコラにも出品する予定だと聞いた。ちょっぴり早めにゲットできるのは、ワクワクする。

↑これがその、新作。シェ―ヴル(山羊)のチーズを使ったガナッシュだった。美味しかった。

その後は、ケーキ巡り…ではなく、久し振りのパリを満喫しようと、観光所巡りをした。ショコラの食べすぎでこれ以上食べられなかったというのもあるが…。

まだこの時は、綺麗なノートルダム…。

バラの窓

友人のパリジャンがお勧めというので、来てみたサント・シャペル。天井が可愛い。ステンドグラスも美しかった…。

大好きな、オランジュリー美術館の睡蓮。

これを見ると、初めて1人で来た、20歳の頃を思い出す。初心に返る場所の一つとなった。ルノワール等の印象派が大好きではあるが、ちょっとこんな感じの絵も気になる。↓

いい感じのおじさん。

パティシエがモデルらしい。なんだか親近感が湧く…大分年上の同業者に…。

風凄そう…?

絵って、つくづく凄いと思う。写真のないような時代に、この風景を描くのに、一体どれだけの時間を費やして、そこに幾度となく訪れたのだろうか。これはどういう意味で描いたのか…そんなことを考えるのも楽しい。

こうして、私の弾丸・サロン・デュ・ショコラツアーは幕を下ろした。

大好きなフレーズが書いてあったので、思わず購入した。思い出の品。

14年の時を経て、今は夫が愛用している。ちなみに、この文字は、もう消えてしまった。光の加減でうっすら見える程度だ。

C'est pas du gâteau!(それはケーキじゃない=簡単じゃない(甘くない))

甘くない、と表現したが、元々は、フランス人的にお菓子作りは簡単なので、それはお菓子作りとは違うよ、というニュアンスで、お菓子が砂糖で甘いからというニュアンスではないらしい。ちなみに、この表現は、18世紀に生まれたそうだ。

楽しい一日だったこの翌日…私は、ショコラトリーの面接を控えていたのだった。

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